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バルディス魔淫伝
【ファンタジー 官能小説】

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拾われて飼われました 前編-8

庭園で何が起きていたか、セリアー二ャはさやかに詳しく話さなかった。若者たちは物陰でリザードマンの女性を輪姦していた。
リザードマンの女性は頭部は爬虫類の顔だが、体つきは灰色の肌であること以外は、金色の瞳の人々とかわらない。
若者たちは兵士たちに凌辱したリザードマンの女性を引き渡すと酒宴に戻って雑談したり、参加している女性たちをくどいていた。
この島では金色の瞳の人々は、あからさまに求める。奴隷たちへの残酷さ、不自然すぎるほどの歓迎、贅をつくした料理や何種類もの酒、ゆらゆらと立ちのぼる香炉の香煙。奴隷たちは節度もなく乱れきった人々の間を動きまわり、無言で笑顔もなく料理や酒をつぎたしている。
荒淫と節度がない退廃の宴の中から、セリアー二ャとガーヴィが姿をくらましていても人々は強い酒で脳が焼かれてしまったのか、それぞれの薄い着物を乱れさせ肉欲に身をゆだねていた。
ラーダの誘いに応じるふりをしたガーヴィと、スーラの誘いに応じるふりをしたセリアー二ャが四人で館の大きなベットのある寝室にやって来た。
ベットに横たわり微笑を浮かべた二人に、貴族の姉妹たちは衣装を脱ぐと、全裸姿でしなだれかかった。
ガーヴィの両手の手袋をセリアー二ャがスーラに乳房を弄られながら外した。
ガーヴィの股間のあたりを撫でまわしていた姉のラーダには右手の変化した五本の触手、セリアー二ャの衣装を乱れさせて露出させた乳房を揉みまわしながら乳首に唇を近づけた妹のスーラには左手の変化した五本の触手が絡みついて、たちまち二人を拘束した。
八本の触手で手首と足首をきつく縛り、残りの二本をセリアー二ャが姉妹の恥丘の上、小さな裂け目にほぐすようになすりつけた。
「ごめんね」
セリアー二ャが怯えた二人の膣内へ触手をゆっくりと押し込んだ。
褐色の肌を火照らせて、触手が中で蠢くたびに姉妹は快感に翻弄された。気持ちいいと喘ぎ声を上げて何度も全身を痙攣させた。表情は蕩けきり、セリアー二ャの質問に答えると褒美に快感を与えられた。
ガーヴィは海賊たちが収容されているのが山の洞窟を利用した牢だと聞き出してから、手袋をはめた。
ラーダとスーラはまだ快感の余韻に陶酔しながら、脱力しきっていた。姉妹に洞窟まで案内させることは難しかった。
解放されて姉妹が頬を染めたまま眠りに落ちると、セリアー二ャとガーヴィは館を抜け出して、さらに山道を上っていった。
山道の途中までは月明かりがあったが、洞窟に近づくにつれ、セリアー二ャがなんともいえぬ不吉な暗い障気が漂っているために悪寒を感じた。
洞窟の前には見張りの兵士もいない。障気があまりに強くペンダントの力に護られていなければ、セリアー二ャも昏倒していたはずである。
静寂と肌にまで染み込んでしまいそうな障気が吹き出している洞窟の前で、セリアー二ャは眉をしかめて立ち止まった。
洞窟の中には鼻を刺す異臭が漂い、ねっとりと重い暗黒がわだかまっているが、ガーヴィはその中に入って行った。
それに続きセリアー二ャも緊張しながら思いきって踏み込んだ。
セリアー二ャが急いで法術の手妻を用いたので、鬼火がひとつ手のひらの上で現れてガーヴィとセリアー二ャの足元や不気味な洞窟の内部を照らし出した。
その光の中でセリアー二ャが見たのは、壁に描かれた壁画であり、下半身が蛇、上半身が人の獣人のところどころが欠損した石像が立ち並んでいる光景なのである。石像の造形があまりに精密なために今にも動き出すのではないかとセリアー二ャは思った。
「ヤン・キース、生きているなら声を上げてくれ!」
ガーヴィの呼びかける声が洞窟内で反響した。
返事はなく鬼火の淡い緑色のゆらめく光に照らされながら、ガーヴィとセリアー二ャが先に進んでいく。
息が白くなるほど障気に澱んだ空気が冷たく、あまりに静寂すぎる闇である。蝙蝠すらいないのか、二人の呼吸の音や足音だけしか聞こえない。ここにいれば、やがて時間の感覚が薄らいでしまうだろう。
やがて、セリアー二ャの目の前には巨大な石扉が現れた。陽光の下で反射して輝くような白い大理石ではなく、石扉は黒曜石である。
それは明らかに呪術、魔道にかかわる者が作り上げたと推測される石扉である。象形文字らしきものがびっしりと刻まれた巨大な石板が、二枚並べられて埋め込まれているように見える。障気はこの扉のむこう側から出ているのである。
セリアー二ャとガーヴィは扉に手を触れることで、中に放り込まれてしまう仕掛けだと看破していた。
かつて似たような仕掛けの扉のあるダンジョンから生還した経験があったからだ。その中にいたのは結界を形成している闇の眷族であった。
島に漂流してきたリザードマンを贄として怪物に捧げているとは姉妹から聞きだしていた。ヤン・キースや仲間の船乗りたちはおそらく、この中に入れられたのだろう。
五年前にヤン・キースが訪れた時にはこのような怪物もおらず、またリザードマンの種族を奴隷とする習慣もなかったのだ。もしも、危険を感じていれば無理をしても、ヤン・キースはこの島で補充するとは言わなかったはずである。
「いつからこの島にこいつが棲みついているかはわからないが、街の人々の快楽をできる限り貪るような暮らしと何か関係があるかもしれぬ」
ガーヴィとセリアー二ャが夜明け前には館に戻ると、姉妹の父親、この島の酋長に姉妹から洞窟の怪物の話を聞いたが詳しく話してほしいと言った。
それを聞いた金色の瞳の島民たちは逃げるように館からそれぞれの家に帰っていった。酋長とガーヴィとセリアー二ャだけで、リザードマンの女奴隷たちも席を外してしまう。
酋長は震える手で酒をあおると、酒杯を壁に投げつけて、この島にかけられた呪いと忌まわしい怪物についてガーヴィとセリアー二ャに話しはじめた。
「かつてこの島国は頽廃とは無縁の太陽の光の下で輝いていた。だが、それが今は失われて滅びを待つだけとなってしまっているのだ」






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