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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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『特別』車両、再び-2

「そう、同じフロア―の一室が私の部屋だ」

「え―――――っ!星司さんもあのマンションに住んでるの!じゃあ、ずっと傍に居たんだ」

驚いた優子だったが、何だか嬉しくなった。

「車が停車した位置が街路灯の下で良かった。部屋を飛び出しながら、陽子に連絡を取って車種とナンバー伝える事ができた。ワリと近くで攫ってくれたから助かったよ」

実際の星司の行動は少し違った。慌てて部屋を飛び出し、エレベーターを呼んだ。それと同時に陽子に連絡を取ったが、陽子は直ぐに電話に出なかった。

慌てた星司が陽子の部屋に駆け込んだ時、陽子は浴室で自慰行為の真っ最中だった。

ガラス製の浴室は絶対に立ち入りたくは無い場所だったが、星司はそれも忘れて飛び込んだ。星司の慌てぶりを見た陽子は瞬時に全てを察して、全裸のまま浴室を飛び出してパソコンの前に陣取った。

星司は全裸の陽子の背中にバスタオルと掛けると、直ぐ様陽子の部屋を飛び出した。そして地下の駐車場で万一のために待機していた手島の車に乗り込んだ。進行方向の途中に由香里の家が有ったので、陽子は機転を利かして連絡を取り、それを星司達がピックアップしたのだ。

「じゃあ、さっき由香里先生が陽子さんの事を『ベース』って言ってたのは、自宅で調べる『拠点』て意味だったんですね」

「ああ、陽子のお陰で助かったよ」

星司がそう言った途端、突然、ワンボックスカーの窓の外から聞きなれた女の声が聞こえた。

「何言ってるのよ、見失った車をあたしよりも早く探し当てたのは星司じゃないの。はい、タクシーの領収書。後できっちりと貰うわよ」

「陽子さん!」

陽子の突然の登場に優子は驚いたが、星司は驚きもせずに、上を向いて仕方が無いという仕草を取った。

調べの目星を付けた陽子は、素早く服を着ると、愛用のノートパソコンを手にして、呼んでいたタクシーに飛び乗った。愛用のノートパソコンが有れば、大凡の事は調べる事ができる。陽子は移動中のタクシーをベースにして星司の後を追っていたのだった。

「久しぶり〜♪」

「久しぶりって…、さっき別れたばかり…」

優子は呆れた。そんな優子にお構いなく、陽子は後部座席に乗り込むと一気に捲し立てた。

「聞いてよ!こいつったら、『早くしろ、早くしろ』って煩かったのよ。だからあたしは必死こいて調べ上げたのよ。車の名義から所有者のF企画を割り出したけど、これがフロントでね。別ルートからS組の関連を調べ上げて、実質責任者の田代が浮かんだの。その田代の関連を探って、こんな事をしそうな浅見に繋がって、そこからようやくこのスタジオを特定したのに、でもこいつは自分の力でさっさと探し当てた後だったのよ。信じられる?こいつったら一生懸命調べ上げて報告したあたしに向かって『そんな遅い情報が役に立つか!』って怒鳴ったのよ。自分で探せるんならさっさと探せっつうの。なのにあたしに当たるんだから、いい加減にしてくれって話しよ!」

溜まった鬱憤を言い切った陽子は星司を睨んだ。

「悪かった。あの時は階段を駆け上がっている途中で余裕が無かった。本当にごめん」

「全然そう思ってないのは、各務家の能力が無くてもわかります!!!」

星司の詫びを陽子が一蹴した。

「いや、本当に悪かった。鬼頭さんの番号、アレは助かった。よく機転を利かして爺さんに聞いてくれた。本当に陽子には感謝してるよ」

各務家の人間は概ね不思議な能力を持つ者と、情報収集や分析に長けた者に別れる。各務家が代々続くのはその両輪が有ったからだ。陽子は後者の最たる者だと各務家の中では重宝されていた。

「まあ、結局はそういうことよね。あんたはあたしが居ないと何にもできないもんね」

陽子はようやく満足した表情を浮かべた。

「でも、無事でよかったあ」

スッキリした陽子は優子に抱きついた。


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