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若奥様は黒ん棒がお好き
【若奥さん 官能小説】

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若奥様は黒ん棒がお好き-1

 駅前の青果市場にその黒人は働いていた。都会で外国人はよく見かけるが、彼女は妙にその黒い肌の男に目がいった。

 筋肉質の上半身はTシャツが悲鳴をあげるほどに隆々とし、対照的にキュッと引き締まったお尻は日本人にはない格好よさ。体のわりに小さい顔はハンサムとはいえないが厚い唇が官能的で大きな目が力強かった。残念ながら身長はそれほど高くなく足もそれほど長くはなかった、というより、ずんぐりむっくりした感じだった。

 が、彼女を驚かせたのは、彼の股間だった。ジーパンの前の膨らみが尋常ではなかったのだ。初めはタオルでもつっこんでいるのかと思ったが、そうではなかった。彼の自前の膨らみだった。彼女の夫のゆうに二倍はあろうかというボリューム。彼が野菜の箱を持ち上げて身体を反らせて歩くと、その股間はさらに強調された。

「奥さん、今日は夏野菜、特にトマト、いいのが入っているよ」

 市場の店主の声に振り返る。

「トマト……、安くしてくれる?」

 彼女は店主といつものように買い物の話を進めたが、それとなくあの黒人の事を聞いてみた。どうやら彼は留学生で、大学の夏休み中のバイトにきているようだった。日本語は片言しか話せないが、黙々と仕事をこなし、日本人よりもよく働くということだった。それ以上の事は聞き出せなかったが、彼の股間の膨らみは、しっかりと彼女の瞳に焼き付いていた。

 彼女の家は私鉄沿線添いの一戸建てである。電車の音がうるさかったが、近くには緑豊かな小さな公園があり、都心から一時間ほどの閑静な町での一戸建ては夫の収入の高さを物語っていた。夫は商社マンで海外出張が多かった。今もインドに出かけていて帰国は半年も先の予定。彼女の生活はもっぱら家事とスポーツセンター通いで占められ、夜は女盛りの身体をもてあます日々が続いていた。

 27歳の身体はトレーニングルームとプール通いのおかげで、実年齢よりもずっと若く見えた。きめの細かい色白の肌は、露出度の高い夏には男性の視線をいやがうえにも集めた。ルックスもハイクラスで、切れ長の瞳が美しく、おちょぼ口が瑞々しくピンクに濡れて、雛人形の清楚さに色気のエッセンスを加筆したという顔立ちだった。身長155センチの身体は引き締まっていたが胸は豊か。85センチ以上はあるだろう。ヒップはキュッと上がって、さわれば心地よい弾力が返ってきそうだった。

 そんな魅力的な彼女に浮気の誘いがないわけがなかった。夫の留守をいいことに、結婚前に勤めていた会社の上司に呼び出されて言い寄られ、時々ホテルで夜を共にしていた。また、町内会費を集金に来た近所のおやじに胸元の大きくあいた普段着姿を見られ、密かに夜這いをかけられて身体を重ねたこともあった。

 だが、元上司は、先日、急な転勤で遠隔地へ行ってしまったし、近所のおやじは彼女とハッスルしすぎたことが祟ったのか、脳溢血で病院に運ばれていた。なので最近の彼女は、悶々と過ごす夜は手淫で身体の火照りを処理するだけ……。ネットのセフレ募集掲示板を覗いてみようかなと思うこともあった。そんな時期に彼女は目にしたのである、例の黒人の股間を。
 ジムに通う彼女は新陳代謝がよかったが、性衝動も人並み以上だった。あの日見た黒人、立派な股間の主にどうにかして近づきたいと彼女は思っていた。そして、その機会は思いがけず早くやってきた。

 ある日の午後、青果市場から買ったキャベツが傷んでいたので交換してもらおうと電話したところ、しばらくして現れたのはなんとあの黒人だったのだ。
 ときめきながら新しいキャベツを受け取ると、彼女はご苦労様と言って微笑んだ。ぺこりとぎこちないおじぎをしてすぐに帰ろうとする彼だったが、あのー、という彼女の声に引き止められた。
 彼女はとっさに一計を案じていた。冷蔵庫の位置を変えたいが夫が不在なため動かせない、あなたなら力がありそうなので手伝ってほしい、と頼んだのだ。日本語が難しいのか、彼は困惑の笑みを浮かべながら頭を掻いていた。彼女はもう一度、今度はゆっくりと言って同じ頼みを彼に伝えた。すると彼は両手でさえぎって、日本語はわかる、わかるが今は配達の途中で手伝えないと、たどたどしい口調で言う。
 彼女ががっかりしてうつむくと、彼はつけ加えた。今はだめだが、バイトが終わってからなら手伝ってもいいと。彼女が顔を輝かせると、彼は自分のアパートがこの近くなので帰りに寄るのはかまわないと言った。彼女は密かに両手を握りしめた。
 今夜七時に寄ると約束して彼は出ていったが、すぐにまた戻ってきた。気が変わったのかと思ったが、野菜の受け取りのサインをもらうのを忘れたのだった。


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