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春菜先輩とマナ
【同性愛♀ 官能小説】

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前編-1


「…気持ち悪い」
「えっ!?戻しそう?」

学校に向かうバスの中で、隣に立っている下級生らしき女の子が訴えます。
長い髪をおさげにした、ほっそりとした子です。
練習試合でもあるのか、バスの中は他校生の男子で一杯です。

「うっ、うっ」
「ヤバッ。これ、この袋に出して」

急いで中のペットボトルを取り出して、コンビニ袋を口元に当てがいます。

「うえっ、ええっ」

ドボドボと、袋が重くなっていきます。

「うわっ!?なんだっ!」
「マジかっ!」
「くせえっ!」

男の子たちが騒ぎ始めます。

「途中だけど降りるね!いいね!」
「うっ、うっ」

止まりますボタンを押して、適当なところで降ろしてもらいます。

目立たないようにバス通りから離れて、背中をさすってあげます。
小柄な子です。

「大丈夫?」
「うっ、うえっ。うええ」

ショックだったのか泣き出して、顔がグジャグジャです。

「これでうがいしなよ。鼻もかんで」

ペットボトルのお茶でティッシュを湿して、顔を拭いてあげます。
小さな綺麗な顔をしています。

「学校に連絡するね」

電話をします。

「はい、バスの中で気分が悪くなった生徒と、途中で降りました。名前は…。
あなた名前は?」
「一年生の板橋 マナです」
「一年の板橋 マナと、三年の瀬戸 春菜です。特進クラスの夏季講習で来ました。
はい、また連絡します」

板橋さんが落ち着いたので、様子を見ながら学校に歩いて行きます。

「制服を汚さなくて良かったね。板橋さんは、バス弱いの?」
「マナって呼んでください。
男子が沢山乗ってきて、すごい臭くなったから…」
「あー、マナは一年だから知らないけど、
ウチは私立で、夜間照明とかシャワーとか設備がいいから、
他校からの練習試合が多いんだよね。特に今は夏休みだからね。
で、夏休み中はバスの本数が少ないから、あんな感じになっちゃうんだ」
「男の人はキライ」

マナは、眉根を寄せます。
怒っても美形です。

「今日は部活で来たの?」
「私も特進で…」
「えー!?
じゃあ、一年生で特進クラスって、マナのことなの?滅多にいないのに、すごい!」
「瀬戸先輩だってそうじゃないですか」
「まぁ、そうだけど、私は三年生だもん」
「また、男の人がたくさん乗って来たらどうしよう」
「今までどうしてたの?」
「幼、小、中と女子校で、スクールバスでした」
「なーるほどね」

マナは心配そうに顔を曇らせます。

「いいよ。朝、一緒にバスに乗ってあげる。
どうせ夏季講習の日程おんなじだから」

朝、マナと駅で待ち合わせて、一緒に学校に通います。

ある日また、沢山の男子がバスに乗り込んできます。
マナは怯えて、私に隠れるようにすがり付きます。

「大丈夫?怪しくなったら降りようよ」
「・・・」

満載のバスが走り出すと、見る見るマナの顔色が悪くなります。

「あっ!ダメダメ!
運転手さーん!降ろしてくださーい!」

次のバス停まで歩きます。

「すみません…」
「しょうがないよ。好きで具合悪くなるんじゃないもんね。
まぁ、マナは体質的に男は受け付けないね」
「私は春菜先輩がいいです」

後輩になつかれてしまいました。

「先輩は果物みたいな匂いがしますね?」
「あー。私、果物と野菜中心の食事だから」
「えっ!?先輩、おニク食べないんですか?ベジタリアンなんですか?」
「死んだ動物を食べるのは無理です。牛乳は大丈夫だよ。
お肉をたくさん食べると、ああやって臭うんじゃないかな?
食べた物で体が作られるんだから」
「すごい!だから先輩はスリムなんですね!私もマネしよう!」

黒目勝ちの目を輝かせます。

「マナやせてるじゃん。
始めるんだったら、無理はしないようにね。
タンパク質が摂りにくくなるから、お豆たくさん食べるといいよ」

マナは機嫌が良くなったようです。



後編に続く


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