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私の王子様
【ファンタジー 官能小説】

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可愛いお姫様-4


「とにかく妹は何も、昔から何も変わってませんから」

 リュディヴィーヌと同じ事を更に強調され、デレクシスは益々戸惑ってしまった。


 朝から来客やらの相手をしていたジェノビアは相当疲れていたらしく、夕食の時も姿を見せなかった。
 食事も自室で簡単に取ると小耳に挟んだデレクシスは、夜食を運ぶ召し使いを捕まえて「代わりに運ぶから」と仕事を取り上げる。
 ジェノビアの部屋には魔法で結界が張られていた。
 魔法使いでもある彼女は、魔導師にも成れるであろう腕前の持ち主だ。
 魔法使いとしては彼女の方が遥かに上だ。
 どうしようか、とデレクシスが思案していると相棒ザックが良いアイディアを教えてくれる。

『クエ(結界破れば?)』

「ああ、出来ない事は無いけど……」

 やっぱりレディに対して失礼だろう、とデレクシスは行儀良くドアをノックした。

『ククッ(じゃ、僕はそこらへん散歩するし。何かあったら喚んで)』

「ああ、分かった。ジェノビア〜?寝てるかい?」

 飛び去るザックを見送り、中に声をかけると部屋から騒がしい音が響く。

ダダンッ

ガシャ

「お、おじ様?!ちょ、ちょっとお待ちになっ……っきゃあっ!!」

「ジェノビア?!」

「だ、大丈夫っ……イタタ……直ぐ、直ぐに開けますから」

「いや、落ち着いて落ち着いて、怪我しない様にね?」

「は、はいっ」

 バタバタと騒がしい音を聞いて、デレクシスは思わず笑ってしまう。
 ランスロットとリュディヴィーヌが言った通り、彼女は何も変わっていなかった。
 騒がしい音が暫く続き、ふっと結界が解かれる。

「お、お待たせ致しました……」

 慌てて準備したのだろう。
 ジェノビアの髪の毛はあちこち絡まり、ラフな部屋着が少し乱れている。
 いつもの彼女がやっと見れて、デレクシスは笑顔になってしまった。

「笑わないで……下さい」

 ぷうっと膨れるジェノビアにゴメンゴメンと謝りながら、デレクシスは柔らかいお気に入りの髪を撫でる。
 ついでに絡まった部分をさりげなく直すと、彼女はいつもの様にくすぐったそうに首をすくめた。



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