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LADY GUN
【推理 推理小説】

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運命の銃弾-9

 小屋の外に出て顔を上げる若菜。物凄い数のパトカーや車両と人だ。赤い回転灯が下山する道を示しているかのようにずっと続いている。
 「見ろ、上原。みんなお前を助けたくて集まってきたんだ。お前は一人じゃない。今までも…、これからもだ。」
 「ありがとうございます。」
目に映る刑事達に向かい頭を下げる若菜。そんな若菜に誰からともなく刑事達からは敬礼が始まる。若菜は再度頭を下げパトカーに乗り込んだ。
 パトカーはゆっくりと道を下る。全ての署員や刑事が若菜に向かい敬礼をしている。
 「まるで有名な映画のシーンみたいだな。でもな、あれは映画だ。しかしこれは現実だ。お前はこれだけの刑事に尊敬されているんだ。」
 「私にはもったいないです…。」
窓から見える署員や刑事、一人一人の顔を見つめていた。女性署員達が車の行く手を阻み車を止めた。
 「と…」
困惑する運転手。
 「いいから。停めろ。」
石山が指示を出すとパトカーは停まった。石山は窓を開ける。すると女性署員達は若菜に向かい言った。
 「私達、女性署員は負けません!今は少なくなってしまったけど、でも頑張ります。このまま逃げるのは嫌です!上原警部補が戻ってくる頃には日本の婦警は凄いと世間に認められるような、そんな女性署員になってます。だから戻って来たら…戻って来たら…、私達に指導、お願いします!」
 「…うん。ありがとう。」
平静を保ったが物凄く感動したし嬉しかった。失墜してしまった婦警の地位だが、残された婦警や女性署員はきっと立派になり地位とプライドを取り戻してくれるだろうと確信した。
 窓は閉められ車は再び走り出す。敬礼で見送られる若菜。
 (ごめんなさい。犯罪者は二度と警察には戻れないから…。)
約束を果たせない事が悲しく申し訳なく感じた。
 (何だか疲れたなぁ…。)
全てを終えた若菜は全身から力が抜けていく。そっと目を閉じ、そしていつの間にか眠ってしまった。長い長い戦いが終わった。若菜は夢を見た。正芳が運転するパトカーに乗り、静香と一緒に街をパトロールする夢を。
 「こいつ、幸せそうな顔して笑ってら。」
石山は若菜の顔を見つめていた。
 「ごめんな、上原。」
若菜の穏やかで幸せそうな顔を見ながら涙を拭いた。
 「お父さん…、先輩…」
その夢は温かく、そしてとても幸せな夢であった。


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