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LADY GUN
【推理 推理小説】

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時を超えて-7

 無線を使い石山が指示を出す。 
 「俺達A班は白山山頂付近の山小屋をめざす。B班は小屋から谷を挟んだ国道を固めてくれ。C班はインターチェンジに残り警備をしてくれ。それ以外は白山にある道という道をしっかり監視していてくれ!」
石山の指示を受けた各班はそれぞれの場所へ向かう。 中央署以外から応援にはその都度対応した。
 「これだけの仲間がいるんだ。一人で抱え込む必要はないぜ上原!」
助手席に乗る俊介はやはり捜査に集中できない。白山が近付くにつれあの時の記憶が生々しく蘇ってくる。
 目の前の静香に何もできなかった自分、命を落とす瞬間に自分の腕の中で抱きしめてやれなかった自分、何よりも静香の愛を分かってやれなかった自分…、正直つらくて仕方なかった。
 そんな俊介に石山は言った。
 「おい、しっかりしろ!本来はお前がやらなきゃいけない事を上原がやろうとしているんだ!お前の苦しみも分かる。だがな、上原はもっと苦しんで来たんだ!女があれまでになる為にはどれだけの血と汗が必要か分かるか!?あいつは俺が激しく指導している時に言ったよ。どんなに血が流れても先輩のあの時流した血には敵わないってな。皆川の血に触れた上原の苦しみが分かるのか!?お前に出来る事は皆川が命に代えて守り抜いた上原を守る事なんじゃないのか!?それに今やそれだけの存在じゃないだろう、上原は。お前にとって。」
石山の言葉に目が覚めた思いだった。
 「すみませんでした。俺は結局後悔ばかりしていました。警察に復職して前向きになったつもりでいました。静香を思い出してばかりいる俺を振り向かせ前を向かせてくれるのは若菜です。あいつの笑顔をまた見たい。俺、若菜が好きです。」
そう言った俊介に石山はニコッと笑いながら言った。
 「簡単に鞍替えしやがって。薄情な男だ。フフフ」
と。しかし俊介の顔を見てもう心配はいらないな、そう思った。
 あと少しだ。もう少しで若菜がいる山頂付近の山小屋に到着する。若菜を守るべく、石山は車を急がせた。


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