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時ヨ止マレ
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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時ヨ止マレ-1

窓から見える紅葉が紅く染まったころ
オレンジ色の西日のなかで君と始めたキャッチボール
あたしの向かいでボールを握りしめた君

〔時間が止まったみたい…〕
心からそう思った


ピンとのばした背筋
振りかぶって、投げた…
空に放物線を描くボールと一緒に時間が流れだす

『あっ…』
ボールはあたしの頭上を越えて転がる
『もー…ちゃんと投げてよっ!』
あたしは汚れたボールを追い掛ける

君は笑って謝る

あたしはボールを捕まえて振り返る

あなたはまだ笑っていて…

あの時、時間なんか止まってしまえばイイって本気で思った、〔今〕が過ぎていくのが惜しかった…

あたしはボールを投げた

時間はやっぱり流れてるんだね
誰も止められないんだね


しっかりとボールを捕まえた君はベルトから白いシャツを浮かせて
ボールを投げた


いつかは今日のこと忘れちゃう日が来るのかな
君があたしの傍からいなくなる日が来るのかな

あたしはボールを捕まえた
『…なんか寂しいね…』

呟いてあたしはボールを投げ返した
木々のざわめき、車のエンジン音
聞こえるはずの無いあたしの呟きを君は感じ取ったの?

君はボールを噛み締めるように取った

『…忘れたりなんかしないよ…』
投げるとき君の口がそう動いたように見えた


茜雲

茶色の芝生

君のやさしさ、強さ、素直じゃないとこも全部

過ぎる時間の一瞬一瞬をあたしは焼き付けとくから…

『風が冷たくなったね』

過ぎる時間を惜しく思う


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