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LADY GUN
【推理 推理小説】

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聖戦の場所へ…-6

 若菜が中央署に現れた事はすぐさま石山にも伝えられた。
 「どうして中央署に戻ったんだ…?」
全く意味が分からない。玲子と薫子が立て続けに襲われ、そして今から由紀子が襲われようとしている。田口は間違いなく所川近辺にいるはずだ。それなのに自分から田口との距離を遠ざける事など考えられなかった。
 「もし上原は所川近辺に田口がいないと考えたらどうだ…?今、所川に田口がいない…。となると由紀子様を犯して居場所探しをする事はない。居場所探しが始まったらまだ田口は所川近辺にいるという事だからな。上原がここらに田口がいないと踏んだ理由は何だ?」
その理由が全く見当がつかないままとうとう由紀子が田口に犯されているライブチャットが中継された。そして居場所探しが始まってしまった。
 「やはり田口はまだ所川にいたんじゃないか!何で上原はここを離れた!?どうしてだ!」
由紀子保護は現地警察にまかせ、若菜がいなくなった時は薫子の映像を見ている時だった事を考え、もう一度薫子の映像を見直した。
 「どこかに上原が何かに気付いたヒントがあるはずなんだ…。どこかに…。」
目を見開き映像を見直す。そして映像は地震があったシーンになる。そこで石山の心臓がドクンとなった。
 「映像で地震があった時、こっちは全然地震なんてなかった。同じ地域であっちはあれだけ大きく揺れ、こっちは全く揺れないなんてあり得るのか…?恐らく10キロと離れてないだろう。地震…、地震…!あ…!たしか午前中に緊急捜査会議が始まる頃、大きな地震があったよな!もしかして映像の地震と午前中の地震が同じ物だとしたら…?そ、そうか!玲子様のも薫子様のも由紀子様のライブチャットではなく録画だったら…!?そう考えればたくさんのコメントが流れているはずの画面を見て一つも動揺しないのもおかしい。という事は薫子様が見ていたのはその時録画されている自分の映像か。ライブ中継されてないんだからコメントが流れる訳がない!やはり録画か!録画をライブ中継と偽って流したんだ!」
ようやく若菜が所川に田口はいないと踏んだ理由が分かった。ライブチャットだと思っていたものが録画だったなら、流れていた映像は全て何時間も前のものという事になる。地震時刻から考えればとうに6時間は経過している。1時間圏内どころか上手く行けば車で東北まで逃げられる時間だ。田口のトリックに騙され警察はまたもや弄ばれた事になる。しかし唯一それに気付いたのが若菜だという事だ。
 「くそっ!!」
石山はすぐさま指示を出した。
 「おい、このサイトの経営者を割り出してすぐさま取り調べろ!このサイトは田口とグルかもしれないぞ!一刻も早く突き止めるんだ!」
 「はい!」
他の署の人間だとか全く関係なかった。それより若菜を失う事だけが怖かった。石山は珍しく取り乱していた。
 やがてサイトの経営者を突き止め刑事を派遣してその場で取り調べを行った。皇室まで巻き込まれている今回の事件は令状無視が容認された。オフレコで宮内庁から許可が出ているからだ。宮内庁としても普通の手順を踏んでの捜査など悠長な事を言われたくないのであった。皇室と警察のプライドをズタズタに引き裂かれた今回の事件は特例ずくしでなんとしても田口を逮捕する事が優先されていたのである。
 しかし田口のトリックが分かっても若菜の居場所が分からない事には変わりはなかった。


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