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LADY GUN
【推理 推理小説】

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聖戦の場所へ…-5

 青山あかね非常に気の弱い性格だ。しかし優しく気配りも出来る女性。いわゆる放っておけないタイプでみんなから可愛がられている。姉を亡くした事情も殆どの署員は知っている為なおさらだ。
 若菜に言われる通りにLADY GUNを持ち出してしまったが、本当によかったのか罪悪感を感じずにいられないあかね。それが若菜を危険な目にあわせてしまう事になる可能性を考えると後悔すら感じる。
 (私は卑怯者…。自分の恨みを上原さんに託すなんて…。私はこのまま上原さんを危険な目にあわせてぬくぬくと生きてていいの…?)
胸が苦しい。廊下を歩きながら涙が溢れてきた。
 所川に行かず署に待機していた俊介が廊下であかねが泣いているのに気づく。 
 「ん?あかねちゃん、どうかした?」
心配そうに顔を除き込む。若菜には誰にも言わないよう言われいる。しかし若菜への心配と自責の念から優しい俊介の顔を見た瞬間、感情が抑えられなくなった。
 「角田さん…!上原さんを助けて下さいっ!!」
 「えっ!?」
あかねの口から若菜名前が出てきた事に驚いた。若菜が姿を消した連絡は耳にしていた。あかねが何か事情を知っているような気がした。
 「若菜がとうかしたの?」
じっと見つめながら動揺を隠しながら穏やかに聞いた。
 「上原さん、さっきそこにいました…。」
肩を揺らして泣きながらそう言った。
 「な、何だって…!?」
所川で姿を消した若菜が中央署に戻っていた事に驚く。
 「で、どこに行ったんだ!?どうしてここに戻ってきた!?」
思わず興奮してしまった俊介。冷静ではいられなくなっていた。
 「私、姉を田口に奪われました。その恨みを晴らして欲しいと上原さんにお願いした事があるんです。絶対逮捕して欲しいという願いを込めて…。でも本心は逮捕されたぐらいじゃ許せない。死んでくれたら…、不謹慎にもそう思ってました。それから上原さんに気をかけてもらうようになりお話する機会が増えました。そしてある日、ある鍵を預かりました。それは上原さんが持っているのとは別のLADY GUNが保管されている銃庫の鍵でした。いつか上原さんが指示を出した時に誰にも気付かれぬよう取り出して欲しいと…。そしてさっき電話がありました。その時が来たんです。」
 「そ、それで若菜が取りに来たんだな!?」
 「はい…!うわぁぁん!」
感情を抑えきれず泣き出したあかねを、君が悪い訳じゃないと言うように優しく抱きしめた俊介。二つのLADY GUNを手にした若菜が一体何をしようとしているのかを考えれば、それは常識的な結末を考える事など出来なかった。
 「ありがとうあかねちゃん。若菜は絶対俺が守るから。」
そっと体を離す。
 「角田さん…上原さんを…上原さんを…人殺しにしないで下さい…。」
ドキッとした俊介。やはりあかねもそう思ってるのか…、そう感じた。
 「若菜は全女性署員の希望の星だ。殺人者なんかにさせてたまるか。」
ニコッと笑って走り去る俊介。
 (俺と付き合いたがらなかったのは田口から俺を守る為だったのか!いつも何かを秘めたような目をしていたのはそう言う事だったのか!異常なまでに銃のトレーニングを積んでいたのはそういう事だったのか!若菜は田口を逮捕するつもりなんてなかった。あいつにあったのは復讐のみだったんだ!あいつは田口を殺すつもりだ!クソっ!!)
今まで若菜の本当の気持ちに気付なかった自分が情けなく腹立たしい。
 (若菜!!)
俊介の頭の中には警察を辞め現場で働いていた自分を復職させる為に初めて会いに来てくれた時の若菜の笑顔だった。切ない。胸が張り裂けそうだ。俊介にとって若菜は、今や静香に負けないぐらい…、いやそれ以上に大切な存在になっている事にようやく気づいたのであった。


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