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私の王子様
【ファンタジー 官能小説】

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大好きな瞳-1


 初めて目に映ったのは、綺麗な綺麗な水色だった。

「はじめまして。ようこそ光の世界へ」

 初めて耳にした音は、とてもとても懐かしい声だった。

―ヤット、アエタ

 初めて頭に浮かんだ言葉は、そんな言葉だった。

―アタシノ、オウジサマ

 初めて感じた感情は……喜びだった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 世界の中心に位置する島国ファン。
 貿易の拠点でもあり学都でもある賑やかなこの国が、今日はまた一段と賑やかだった。

「成人おめでとう」

「さあ、飲んで飲んで」

「一人前になったんだからしっかりね!」

 国のあちこちで祝いの言葉がかけられ、言葉をかけられているのは今年で18歳になる若者達だった。
 この国では18歳で成人とみなされ、春の始めの頃にお城で成人式が行われるのだ。
 そして、今日がその日であり、城下町には18歳になる若者達が国中から集まっており、それ目当ての商売人達も集まって大変な賑わいを見せていた。
 成人式が行われるお城でもお祝いムードが湧いている。
 なにせ、ファンの双子の王子と姫も成人式に参加するのだから。

 長い黒髪をキュッとひとつに結んだ王子ランスロットは、鏡の中の自分を眺めて満足そうに頷く。

「うん。華美すぎず地味すぎず……隙の無い完璧なファッション♪」

 自画自賛するランスロットを見た従者のノアは、溜め息まじりの息を吐いた。

「なんだい?ノア?どこかおかしいかい?」

「いえ。別に」

 相変わらず自信家な我が主、ランスロットもついに成人式を迎えるのかと思うと……物凄く不安なだけ。
 きっと今まで以上のムチャぶりをされるのだろうな、と先が思いやられるだけなのだ。
 そのランスロット対称的なのは双子の妹ジェノビア。

「お兄様お兄様!やっぱりこっちの青いドレスが良いかしら?!」

 続き部屋を繋ぐ扉から飛び出したジェノビアは、下着姿のまま青いドレスを掲げた。

「ノービィ。赤いのに決めたんじゃなかったかい?」

「だって……着てみたらなんか派手っぽくて……」

 ジェノビアはドレスを胸に抱いてしゅうんと項垂れる。
 しなやかな白い肌がふわふわの長い金髪で申し訳程度に隠され、妙に色っぽい。
 ノアはくるりと背中を向けて、今度はこれ見よがしに溜め息をついた。



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