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私の王子様
【ファンタジー 官能小説】

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大好きな絵本-6


 光はひと晩中輝き続け、王子様もひと晩中その光景を眺めていました。

 ふと気がつくと朝になっていました。

「泉は?!」

 王子様は勢い良く起き上がって泉を確認します。
 泉は元通り……いえ、それ以上に澄んだ水を湛えた綺麗な泉になっていました。

「良かった!」

 王子様は安堵の溜め息をついて泉に語りかけます。

「もう二度とキミ達を傷つけないよ。約束する」

 そう言った王子様がお城に戻ろうとした時、泉の中から何かが飛んできて王子様の足元に落ちました。
 それは澄んだ泉と同じ色の綺麗な石でした。

「くれるのかい?」

 王子様が首を傾げると泉はパチャリと音をたてました。

「ありがとう。大事にするよ」

 王子様は大きく手を振ってから走ってお城に戻りました。

 その夜、久しぶりにぐっすり寝ていると夢の中にあの時の女の子が現れました。

「良く頑張りましたね。王子様」

 王子様は首を横に振って答えます。

「ボクがした事のつぐないをしただけだもん」

 王子様の言葉に女の子はにっこり微笑みました。

「泉の精霊がくれたその石は『精霊の涙』と言われる石です」

「精霊の涙?」

「はい。精霊が王子様を仲間と認めてくれた証です」

 王子様は目をパチパチさせます。

「これからも、よろしくお願いします……ね?」

 そう言うと女の子の姿がスゥッと消えていきます。

「あ……ボク、ボクね、皆が仲良く暮らせる国を作るよ!約束する」

 消えゆく女の子は最高の笑顔を王子様にくれました。

 目を覚ました王子様は部屋の中の水槽に駆け寄ります。

「約束」

 もう一度言うと水槽の水がパチャンと跳ねました。

 それから王子様は人間も動物も精霊も仲良く暮らせる国を作りました。
 夢のようなその国は『精霊の国』と呼ばれ、王子様は『精霊王子』と呼ばれるようになりました。

 精霊の国には大きな大きな木があり、その横には小さなベンチと沢山の花が咲いているそうです。

おしまい

『精霊王子』

エリック=エルリック:著
ザナ=ハイム:絵



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