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淫霊記
【ホラー 官能小説】

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見えざる凌辱者-1

今夜もまた犯されてしまった。
上からかぶさってきた重さも、中に突き入れられていたぺニスの感触も、今はもう消えている。
恵美はまだ息が上がって頭がぼんやりとして余韻に身をゆだねている。
真夜中に見えない凌辱者から犯されていることを誰に相談できるだろう。
夢ではない証拠。
たまに服で見えない部分にキスマークをつけられることがある。
背中にキスマークを残された。これは自分ではつけられない場所だ。
恵美は自分が欲求不満で、夢遊病のように自分の肌を吸ってキスマークをつけているのではと疑っていた。
それならメンタルクリニックに相談できる。
しかし背中となると自分ではないらしい。
妊娠はしないと恵美は思う。
濡れているのは愛液で、男の精液が逆流してきたりしない。
射精された感触はある。ても、気配が消えると一緒に消えてしまうからだ。

恵美は今年の四月に大学に進学して一人暮らしを始めた女子大生である。
地元に彼氏がいたが、恵美は都内の大学に彼氏は地元の大学生なので遠距離恋愛である。
そのせいで恥ずかしい夢を見るのだと恵美は思っていたが、どうもそうではないらしい。
恵美は彼氏を「先輩」と呼ぶ癖がついている。高校一年の後輩を三年の先輩が告白してきた。
つきあって一ヶ月後、先輩は恵美をラブホテルに連れていった。アルバイト禁止の高校だったが、派遣の夜勤のアルバイトをして先輩はホテル代やデート代をすべて払った。
そういうところは男らしいと思う。先輩は大学に近い場所に一人暮らしを始めると、恵美とラブホテルには行かずに部屋でするようになった。
夕方には恵美は帰宅する。高校生が外泊など許されるはずがないという両親に育てられている一人娘だからである。
先輩も恵美に泊まっていけとは言わなかった。駅まで恵美を送っていく。恵美は40分ほど電車に揺られて先輩のアパートの部屋に週一ぐらいで通っていた。
恵美が親の薦めもあり都内の大学に通うために上京すると、週一で会ってセックスしていたので、かなりさびしかった。
犯されていかされたあと、先輩に申し訳ない気持ちになる。浮気ではないはず、と恵美は自分に言い聞かせてみる。
見えない人に犯されているとき、感じて思わず何度も「先輩、気持ちいいよぉ」「先輩、もうだめぇ、いっちゃうぅっ」と声を出してしまう。
見えない人で先輩とのセックスを思い出してオナニーしているような感じなのだ。
一人暮らしで他に誰もいない部屋。
声を出しても心配はない。
パジャマかわりのピンクのトレーナーを着たままで犯されてしまうので、パンティやひどいときはトレーナーの下に愛液が染みてしまい、脱いで寝直なおすことになる。
クリトリスを舐められ、指を入れられて弄られ、ぺニスを入れられて、三回はいかされる。
初めはただおそろしく怯え、自分がさびしさにおかしくなったと思い悩み、最近は寝ている間に夜這いのように体をまさぐられているので驚くが、そのあとは身をゆだねて先輩とのセックスを思い出しながら快感に溺れるようになっていた。
キスマークを残される以外は害はない。
三ヶ月がすぎて大学に通うのも慣れてきた。アルバイトをしなくても贅沢をしなければ親の仕送りでなんとかなる。
恵美はサークルには入っていない。
先輩がサークルなんて合コンみたいなものだと恵美に教えていた。恵美の趣味は読書で、図書館で小説を、やネットカフェでマンガを読むのが好きで誰かといると気を使って疲れてしまう。
恵美は、はしゃいだり騒いだりせず口数も多くはないので「ネコみたいだよな、恵美って」と先輩から言われたことがある。
自分から積極的に話しかけたりはしない。無愛想なわけではなく、話せばにこりと微笑して見つめてくる。スマホで時間を確認して、lineを開いて先輩に書いたおやすみなさいのメッセージが既読になっていないのでがっかりしていた。
先輩は携帯電話もまだスマホにしていない。ボタンが壊れてきたら機種変更すると言っていた。
バイトしてやっと買った携帯電話に愛着があるらしいのである。
携帯電話が必要あるのかというぐらい電話やlineでメッセージを入れてこない。どうやらネットのゲームにはまっていてゲーム機という認識らしい。
遠距離なので恵美は「おはよう」とか「おやすみなさい」とか読んだ本の感想とかを先輩に書いている。
携帯電話でゲームをしながら寝てしまい、lineのメッセージを確認してないのだろうと恵美はわかっているが、ちゃんと毎日見てと強気で言えるわけではなく、わがままを言って困らせたくなかった。
離れていると小さな喧嘩がこわかった。
「先輩のばか……」
ベットで体を丸めて恵美は寝ることにした。
見えない人とのセックスで疲れたせいもあり、恵美は夢をみずに朝までぐっすり眠った。
起きるとスマホを確認する。
メッセージが既読になっていて、それは恵美があきらめて寝た十分後だったので、もう少しだけ起きてればよかった、そうすれば少し話せたかもしれないのにと思いながら「先輩、おはよ」とメッセージを入れた。シャワーを浴びて、恵美は大学の講義に行くしたくを始める。
一人暮らしをしてみて、洗濯やゴミ出しなど実家では母親がやってくれていたことに感謝したくなる。先輩の部屋は掃除好きらしく、トイレまできれいに掃除され、部屋も整理されていた。
恵美は自分が以外と雑だと思う。学校から帰ったらやろうと思いながら部屋を出る。

天気が良く、洗濯物はバッチリかわきそうだと恵美は思いながら、駅前のコンビニに寄って飲み物を買って電車に乗る。
通勤時間帯の電車は十五分ほどの我慢の時間である。
「んっ……」
その日はいつもと変わらないはずだった。
恵美のブラジャーの下の乳首を指先でぐりぐりと押し込んだり、弾かれた。
痴漢かと思い恵美は周囲を見渡した。
両手で痴漢に間違われないように鞄を抱えている太った中年男性と目が合った。


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