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LADY GUN
【推理 推理小説】

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Fall in Love-8

 「ハァハァ…ハァハァ…」
お互い我を忘れて燃え上がり抱きしめ合いながら体を重ねていた。先に体を起こす中島。
 「良かったんすか…?俺と…」
 「うん…。」
潤んだ瞳にドキッとする。
 「離れないで近くにいて…?」
 「は、はい…。」
再び抱きしめ合う。すると徐に涼子が呟くように言葉を並べた。
 「湯島一家を殺害した後、怖くて怖くて仕方がなかった…。恐怖に怯える目が頭から離れないの。特に子供達の目が…。罪悪感なんてないと思った。でも違った。家族の命を乞う湯島、目の前で子供を殺される妻の叫び声と涙、そして家族全員殺害された湯島武史の苦しみ…。思い出すと体が震える。湯島武史は自分を恨みの目で睨みつけながら私に殺された。恨みを晴らす事ばかり考えて、恨まれる事を考えていなかった。私は一晩河川敷の橋の下で恐怖して震えながら耐えていたの。渡辺麻耶を殺すまでは逃げちゃいけないって。もし昨日渡辺麻耶を殺害して1人で夜を過ごしていたなら頭がおかしくなってたかも知れない。自ら命を絶っていたかもしれない。今も1人だったらとても耐えられないと思う。中島さんがいてくれて本当に良かった…。」
 「瀬川さん…」
ずっと復讐する事を胸に抱き、体を売り、そしてようやく復讐をやり遂げてもなお苦しむ涼子を強く抱き締めずにはいれなかった。痛いぐらいに抱き締められている涼子はその痛みが物凄く温かく感じた。
 (この人を私に巻き込んではいけない…。せめてあと少しの間だけこのやさに抱かれていたい…。)
その気持ちは若菜と同じだ。殺人犯になる自分に俊介を巻き込んではいけない、若菜はそう思っている。本当は好きで好きで仕方がないのに、その恋を成就する事の出来ない女達の悲しき愛。若菜も涼子も同じだった。
 (ヤベェ…俺、マジでこの人の事を好きになっちゃったよ…。)
そんな女心を踏みにじり、その禁じられた恋へと人生を捧げたいと思う男はこの世にいない訳ではなかった。
 中島も涼子も、本当は恋に落ちていたのであった。


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