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LADY GUN
【推理 推理小説】

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同じ穴のムジナ-5

 すると涼子が若菜に聞いた。
 「上原さんは私が田口の仲間だとは思わなかったの?」
若菜は答える。
 「湯島武史を殺害したのがあなただと気付いた時に、もしかしたら田口の仲間じゃないんじゃないかと思いました。田口は湯島武史や矢沢祐樹を何だかんだ言っても尊敬しているし、守ろうとしていた。田口の仲間ならあなたが湯島武史を殺す訳がない。いや、殺せないから。」
涼子はフッと笑った。
 「つくづく優秀ね、あなたは。もしあなたが湯島武史事件の担当をしていたら逮捕にこぎつけていたかもね。」
 「そんな事はありません。瀬川さんだって優秀な刑事だったと聞いてます。私も湯島武史にはかなわなかったと思います。ただ、私と瀬川さんでコンビを組んでいたらきっと違う結果になったと思います。」
 「そうね…、そうかもね。」
自分を称えてくれる若菜が嬉しかった。明日からでも刑事に復帰して若菜とコンビを組めたら最高だなと感じた。涼子は湯島武史にレイプされて以来、初めて刑事である自分の姿を思い出したのであった。
 「で、私は何をすればいいの?」
涼子は早速計画を聞く。
 「田口徹の面倒を見ていた高田道彦が死亡してから、変わって田口の面倒をみたのが高田一家。道彦の姉、高田瑞穂が母親代わりとなり一緒に暮らしてた。そして道彦を殺された父親の泰明は田口と組んで先輩に復讐する計画を立て実行しました。母親の倫世も先輩を憎んでいた。その高田一家は先輩が殺害された前日に国外に逃亡しました。まずドーハに飛び、経由してフランスに向かいました。それからずっとパリに住んでいた。これは私が独自に調べた事です。そして高田一家がいよいよ日本に帰って来るんです。私にしてみれば高田一家は捜査に協力しているように見せかけ先輩を陥れた憎い人らです。決して許す事はできません。瀬川さんには彼ら一家を暗殺してもらいます。」
 「えっ…?」
想像だにしていなかったとんでもない役割に驚く。
 「けっこう重いのね…。」
しかし顔色一つ変えずに若菜は言う。
 「それだけの大仕事をしてもらうんです。だから見返りはそれ相応のものを用意します。中島さん?」
 「はい!」
 「レベルの高い偽造パスポートを作れる組織を探して下さい。瀬川さんの写真を使って、ね。」
 「は、はい。」
涼子は呆然としていた。
 「飛行機のチケットも私が用意します。あなたはもともと誰も自分を知らない海外に行きたかったはずですよね?」
 「そ、そんな事も知ってたの…?」
亮子の事情聴取で聞いていたのだ。
 「だから早めに荷物をまとめて下さい。高田一家は来週の月曜日の午前に成田に着きます。殺して下さい。そして午後には日本を出て下さい。そうしたらあなたは本当に自由になります。」
 「あなた…、私の為に…?」
若菜は首を振る。
 「いえ、すべては自分の為です。」
少しの嘘が混ざっている事は涼子に伝わった。涼子は自分の為というよりも若菜の為にその計画を受け入れる事にした。
 「分かったわ。私は自分の自由の為にそれを実行するわ。」
 「ありがとうございます。」
若菜も涼子の言葉に少しの嘘が混ざっている事に気付いていたのであった。


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