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ちちろむし、恋の道行
【歴史物 官能小説】

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その2 ちちろのむしと別れけり-8

 湯屋はもう閉まっていたので、旅の垢は濡れた手拭いで拭き取ることしか出来なかったが、瑚琳坊はもろ肌 脱ぎのお鈴の背中を拭いてやりながら、心なしか肉付きがよくなっていることに気づいた。以前はそれこそ少女と大人の端境期という体型 だったが、胸に手を回してみるとわずかに量感が増しているようだった。

「おまえ様、いたずらはよして下さいまし……」

そういうお鈴の声に甘さはなかった。下帯を突き上げる魔羅の固さを彼女の背中に押しつけても、くすぐった そうにするだけで、誘いには乗ってこなかった。せっかく本当の人間になったお鈴を抱こうと魔羅を滾らせている男をよそに、彼女は一人 でさっさと蒲団に潜り込んで背中を向けてしまった。

「おまえ、まだお峰のことを気にしているのか?」

かたくなな背中が無言の返事をしていた。

「まったく……、しょうがねえな」

瑚琳坊は、ふらりと出かけて行き、上燗屋(屋台の一杯飲み屋)で身体の火照りを酒で紛らわせた。





 それでも三日ほど経つと、お鈴のお峰に対するわだかまりも心の隅に追いやられたらしく、長屋の奥の部屋 で、二人しっぽり酒を差しつ差されつしていると、頬を染めたお鈴の目が潤んできた。これは得たりと瑚琳坊は接吻の雨を降らせた。唇は おろか、耳といわず首筋といわず音を立てて吸い回し、襟元から手を差し入れて乳房をねんごろに揉みしだくと、お鈴は熱い吐息を漏らし て瑚琳坊にすがりついてきた。

 寝床に二人仲良く潜り込むと、瑚琳坊の魔羅は痛いほど勃起し、お鈴の陰唇は充血して花開いていた。いつ もなら瑚琳坊から仕掛けるのだが、今宵は彼女のほうから牝猫のように身体を擦り付けてきた。行灯の薄明かりの中でもお鈴の頬が朱に染 まっているのが分かり、くねりながら密着するなめらかな素肌は、かつてない熱さを帯びていた。

「何だか私、おかしいみたいです。身体が火照って……、いやらしい気分」

「何もおかしいことはないんだぜ。本当の人間になったんだ。人間とは淫らな生き物さ。ほら、お鈴のここ は、もうこんなに濡れている」

女陰をくじると、お鈴は身体をビクリとさせ、彼にしがみついた。

「もうじきおまえはおれの女房だ。だから遠慮なんかしねえで、思う存分おれに甘えていいんだぜ」

「おまえ様!」

女房という言葉がお鈴の心を高揚させた。瑚琳坊に覆いかぶさり自ら積極的に肉棒を握ると、小さな口を開い て亀頭を頬張った。李(すもも)のごとく充実した亀頭は彼女の口には余るほどだったが、懸命に肉竿の先端の膨らみをしゃぶり立てる。 お鈴の唇での熱烈な愛撫は初めてのことだった。今までなら瑚琳坊がせがんでも遠慮がちに舌を軽く這わせる程度だったが、今夜の彼女は どうだ。むせこみながらも喉の奥まで男根を飲み込もうとしているではないか。

「……お鈴」

稚拙ながらも熱心な彼女の愛撫に瑚琳坊は目を細め、先走りの液がどんどん湧いて亀頭の滑りがよくなるのが 分かった。

「ああ、逞しい……」

清楚な顔を上気させ、お鈴が唾液に濡れた肉棒をじっと見つめる。いつになく興奮した瑚琳坊は仰向けのまま 身体をグルリと回し、彼女の下半身に顔を潜り込ませると、濡れた花弁に盛大に音を立ててむしゃぶりついた。


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