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秘剣露時雨秘裂返しのお満
【コメディ 官能小説】

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姉と弟の特別稽古-5

「ってええええええ!いてええええ、頭、いてええええ!」

激痛の余りに現実に引き戻された瓶之真は、頭を抱えてうずくまった。その瓶之真の手と肩に続けざまに衝撃が入った。

ビシッ!バシッ!

「ってええええ!手っいてえええ!肩っいてえええ!」

しかし剣者たる瓶之真が身に降りかかる危難を、為すがままに受け続ける事はない。瓶之真はのたうちながら身を捻り、自身に攻撃を加える者を見上げた。すると、お満が苦しそうに喘ぎながら、木刀を振っている姿が目に入った。

「はぁ、はぁ、それ〜、はぁ、はぁ、えいや〜」

お家再興を夢見る少女は、自身の限界を超えつつも健気に素振りを続けていたのだった。しかし、朦朧としながら木刀を振っているお満は、自分の木刀が師の頭を叩いた事に全然気付いていない。もちろんお満に意図は無い、お満の天然のなせる技だった。

瓶之真にとって幸いだったのは、自身の受けた衝撃が、力の無いお満のへろへろの素振りだった事だ。

更にお満の攻撃で妄想が止まった事は、結果として瓶之真を助けたことになった。それがもう数拍遅ければ、稽古着の中で握りしめていた肉棒を引っ張り出して、門弟達の前で扱き出すところまで妄想に支配されていたのだ。

「はぁん、も、もう、らめぇぇぇ、はぁん、はぁん」

「こ、これお満、止めろ!っぶねええ、これ止めるのじゃ!わっ、わっ、わっ」

お満のへろへろの素振りは、瓶之真ほどの達人でも予測は付かなかった。

誰が見ても緩慢なその太刀筋は、受け手にとっては簡単に避けられるはずだった。しかし不思議な事に実際に逃げる事は困難だった。

瓶之真は何故か自分を的確に捉えようとする太刀筋を、辛うじて避けるしか無かった。

瓶之真は自分に向かって的確に振られ続ける木刀を掻い潜り、なんとかお満の手首を抑えた。

「ふう、これお満、止めぬか!」

「はぁ、はぁ、はぁ、あれ、先生、どうしましたぁ、はぁ、はぁ」

ぞくり…

下手したら大怪我、最悪なら命を奪う事になる攻撃を加えながら、無邪気な顔を向けるお満に、瓶之真は一瞬恐怖を覚えた。

相手が剣者ならば例え強豪で有ろうと、瓶之真は負けない自負がある。しかし今のこのお満の天然さに勝つ自信が、持てなくなってしまった。

このままでは不意を突かれて、お満の木刀に倒れてしまう可能性もある。道場主たる者それだけは避けたい。瓶之真は、取り敢えずお満を道場から遠ざける事を第一に考えた。

「ふう、先生、これって結構、大変なのですね。お満の体力で続けられるかしら…。はっ、すみません。そんな事ではお家再興が叶いませぬ。先生、手を離して下さい。お満は続けまするぞ」

お満は頭を捻る瓶之真に、切欠を与える言葉を発した。

「い、いかん。そ、そうじゃ、お満、そなたは稽古に耐えうる体力が無いようじゃ。このままでは道場稽古に支障をきたす。道場の前の辻を抜けて3町ほど行くと神社がある。お満はそこの氏神に体力が付くように、今から行って祈願してまいれ」

体力を付けるにはこの場で稽古するのが一番だが、辻褄の合わない事でも、とにかくこの場にお満が居なくなる事が先決だった。

「で、でも先生。お満もお稽古しないと…」

何だかんだ言っても、お満にはお家再興の目的がある。稽古を中断して神社巡りしている場合じゃないので、瓶之真の指示に戸惑ってしまった。

「これも稽古の一環である。お満の軟弱な精神を鍛えるには、信心にて心を入れ替えるのが先決であるぞ。直ぐに行ってまいれ」

師である瓶之真からそう言われて、頭の軽いお満は直ぐにその気になった。


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