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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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本当の優しさ-9

心臓がドキドキする、無論悪い意味で。

見慣れないアパート、周りにはまるで人気が無い、あるのは薄汚い壁にさび付いた階段

「ささ、入って入ってっ!♪」

知らない20代後半の肥満で、顔はニキビにそばかす、頭は短くというよりはげていて
 嫌らしい目で、自分の部屋の扉を開け、中に案内する男。

「お、お邪魔しまーすっ…」

決して慣れない事をして、自分でも情けないくらいに弱弱しい声をあげ、言われるがまま
よそ様の家へ。

「今、冷たい飲み物を持ってくるねぇー、何が良い?」
「あ、お…お気遣いなく」

部屋の中は一層汚く、お菓子のカスに食べかけのカップ麺ゴミ箱は何故か丸めたティッシュで溢れこぼれ、壁には一面オタクを臭わす女の子のアニメキャラポスターが張ってあり、鼻も曲がるとは言えないが不快な悪臭が漂い。

大丈夫、大丈夫…、向こうだって騒ぎになりたくないからほどほどに付き合うだけでそんなに嫌らしい事なんてしない。そうあの女の子達に聞いた。

「お待たせー♪」
「わぁーどうもスイマセン」

愛想笑いをし、嫌らしい顔が一層増した男が、二人分のオレンジジュースが乗ったおぼん
を持ち、ベットで座ってる私の横に座り、手渡しをしてくる。

私はそれがまま手渡されたジュースを飲み。男がその汚い顔を近づけジュースを口にする
姿をジッと見つめ。

嫌だ、気持ち悪いっ!

街でコイツと会ってからさっきから手の震えが止まらない、全身鳥肌が立つ。
 大丈夫、ちょっとキモイけど、さっさと終わらせて、貰うもん貰って帰ろう、そうすればリハビリ代が…。

そう自分に言い聞かせ、両手でグラスを空にしようとしていると

「キャッ!」

胸に分厚い感触がし、飲むのを中断し、ソイツの顔を見る。

「君ぃー、良い胸してるねぇー、何カップ?」
「ぁ……」

声が出ない、話が違うんでないかと急に恐怖心が上昇し。男はそのまま

「いやっ!うっ…」
「ぐへへへ、やっぱいいねぇ生はぁ、制服も可愛いし、スタイルだって」

興奮した男はそのまま私をベットに押し倒し、飲みかけのジュースが床にこぼれ。
 手足をジタバタさせ抵抗する私を、その巨体で押さえつけ、ボタンに手を掛け。

「いや、いやぁやめってぇ…」
「んー?付き合うって言ったのはそっちだろ?なら大人しくしろっ、そしてぇ♪」

違う、こんなのはただの。あのギャルどもの軽い話を信じた私がバカだった
 男何か狼だ、以前母がわいせつ事件のニュースで呟いた事はホントだった、そして今
 私はその事件の中にいる、それが一層恐怖心を増し。

「んあぁぁ、やめて、お願いっ!」
「ハァハァハァハァ♪」

くぅ、このままでは官能小説だ、いやそれ以前このままだと、私、私。

顔は青ざめ、脈は激しく動き、首を荒々しく振ると。
 向こうからインターホンが鳴り。

「阿久津さぁーん、家賃今月こそ払ってくださいっ!」

荒々しくドアをノックする音、それに対し男の手が止まり向こうを向く、チャンスだ!

私は、固まる男に躊躇無く思いっきりパンチをお見舞いし、運よく振り向いた男の顔の目
にクリティカルヒットし。

「いってぇーっ!…てんめぇー待てっ!」
「!!」

ひるんだ隙にベットから降り、必死に玄関の方へ逃げる私に、視界がぼやけつつも、死ぬ物狂いで私の足を掴む男に、近くにあった花瓶で思いっきり男の後頭部目掛けて叩きつけ

「ぎぃやぁぁぁぁぁっ!!」

破片も水も派手に飛び散り、頭を抑えている隙に、逃げ。

「痛ぁっ!」

床に飛び散った破片が足に刺さり激痛が走り、でも今はこの場を去る事で頭が一杯、異変を感じた大家と思われる人相の悪いオジサンが扉を開け、私はその彼を構わず突き飛ばし
どうにか脱出する事ができ。

「ぐぬぅぅー、後もう少しで、生の乳を」
「アンタ、まさか…」


息を切らし、ようやく人通りの多い街へたどり着き、私はそのまま空気の抜けた風船のように、力が抜け、人目も気にせずうずくまり、思いっきり号泣した。

「うっうっ、あぁーーん、あっあっ、うう。」

もう、死にたい…



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