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ちちろむし、恋の道行
【歴史物 官能小説】

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その1 ちちろのむしと出会ひけり-7

「どうした、腰巻が残ってるぞ」

娘は唇を噛みしめ、その手は最後の布にかかったまま動かなかった。

「全部脱ぐんだ」

瑚琳坊は可哀想に思う気持ちもあったが、目にうっすらと涙を浮かべ、うち震えている娘を見ていると、何やら苛 めてやりたい気持ちが募ってきた。

「このままじゃあ置いてやれんな」

「ぬ、脱ぎます!」

言い放つと、娘は腰巻きをはらりと解き、すぐに両手で前を隠した。

「手が邪魔だなあ」

娘は濡れた瞳で瑚琳坊に何かを訴えていたが、彼は容赦なく言った。

「手をどけるんだ」

娘の手は震えながらゆっくりと引き上げられ、薄い陰毛を戴いた割れ目が見えてきた。行灯の明かりを受けて、一 本の縦筋が淡く影を作っていた。今まで何十人もの女体を見てきた瑚琳坊だったが、これほど清楚で綺麗な女の割れ目を拝んだのは初めてだっ た。色素の沈着もなく、つるりとしていて象牙細工のようである。この娘の正体がちちろむしでなかったなら、このままむしゃぶりついて舐め 回したいところだった。

「おい、少し股を開くんだ」

命令すると、娘はおずおずと股の間にわずかな空間を作った。

「もっと開くんだ」

空間がゆっくりと広がった。瑚琳坊が身をかがめて秘裂を覗き込む。一本の筋を押しのけて陰唇が、ほんのわずか だが顔を見せていた。

(うーん、よくも化けたり。ここまで完璧に女体を真似るとは……)

瑚琳坊はほとほと感心した。身体を引いて娘の全身を眺め直したが、ほっそりとしていながら膨らむべきところは 膨らみ、下腹も適度に盛り上がって、男がのしかかっても弾力がよさそうだった。腰も思いのほか張りがあった。

「ちょっと後ろを向いてみろ」

娘の尻がこちらを向いた。こんもりとした双丘が垂れることなくせり出し、まさに桃尻と呼ぶにふさわしかった。 顔を近づけると、なめらかな肌の上で産毛が微かに光っており、瑚琳坊はその美しさに息を飲んだ。相手が虫であることを忘れ、彼の指が尻に 触れそうになった。その時である、すすり泣きが聞こえてきた。見ると、娘が肩を震わせてしゃくり上げていた。

(なんてこった、泣き出しやがった)

瑚琳坊はため息をつくと立ち上がり、娘の肩にそっと肌襦袢をかけてやった。

「もういいぜ。これくらいにしておこう」

彼は煙草盆のところに座ると煙管を取り上げた。

「もう何にもしやしねえ。泣くのをやめな」

安物の刻み煙草を雁首に詰め込むと、しかめっ面で火をつけた。娘はしばらく鼻をグズグズさせていたが、瑚琳坊 の前に膝をつくと、深々と頭を下げた。

「大変失礼致しました。何でもすると云っておきながら、つい、取り乱しました。……も、もう一度、私の肌をご 覧になりますか? 今度は大丈夫です……」

瑚琳坊は口の端に煙管をくわえながら手を振った。


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