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LADY GUN
【推理 推理小説】

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復讐-7

 お願いだ、俺はどうなってもいいから妻や子供は許してくれ…、湯島はきっとそう叫んだに違いないだろうと思った。しかし冷酷に未来から順に俊太、絵里を殺害して行ったであろう瀬川涼子に恨みの深さを感じた。何の罪もない子供達を殺害した瀬川涼子は許せないが、その瀬川涼子の全てを奪ったのが湯島武史。善悪の線引きは難しい。どちらも善で、どちらも悪と言える。しかし子供の命まで奪ったのは若菜にはどうしても許せなかった。
 (恐らく瀬川涼子は渡辺麻耶の居場所を湯島に尋問したはず。でもまだこの街にいるって事は渡辺麻耶も実はこの近辺にいるって事ね。渡辺麻耶がどこかで働いているとしたら仕事終わってから犯行に及ぶ可能性が高い。今からすぐに瀬川涼子に接触しないと…。)
何かしら用事をつけて抜け出そうと思ったその時だった。
 「上原、今から署で緊急捜査会議をやるそうだ。帰るぞ。」
 「えっ…?わ、私ちょっと…」
適当な理由が見つからない。
 「用事があるならあとに回してくれ。お前がいなきゃ会議が成り立たないだろ?」
 「わ、分かりました…(ま、マズいわ…。渡辺麻耶が…)」
うかうかしているとまた悲劇が起きてしまう。瀬川涼子が犯行に及ぶのが遅い時間である事を祈りながら署に戻る。
 会議が始まった。証言から湯島武史が美山静香をレイプした時から始まり現在の田口の件までの流れを報告した。
 「湯島武史一家殺害の犯人の目星は立ってるのか?」
島田から質問される。
 「いえ、まだ…。過去の件から言っても彼を恨んでいる人間はたくさんいるでしょうから。男か女かもまだ分かりません。」
島田は溜め息をつく。
 「そうか…。今回の殺人事件において湯島武史の詳細は明らかにしないよう本庁から連絡があった。事件的には時効を迎えているしわざわざ叩いて誇りを出す事もないだろうとの見解だ。特にマスコミには情報を漏らさないようにな。」
要するに死んでまで恥を蒸し返されたくないという事か…、若菜はそう思ったが納得した。今更湯島武史の過去を曝す事はないと思ったからだ。重要なのは田口を捕まえる事だ。
 「湯島を殺害した犯人は田口である可能性はないのか?」
 「ないと思います。」
断言する若菜。
 「何故だ?」
 「田口が湯島武史を殺害する理由がありません。田口には未だに湯島武史を敬っている可能性が高いという証言もありますし。どちらかと言えば湯島を殺害した犯人に強い怒りを感じているところでしょう。それに田口の犯行なら必ず湯島の目の前で妻の絵里をレイプしてから殺害してると思います。」
 「そうか…。」
 「まずは現場の聞き込みと防犯カメラの解析が必要だと思いますが、それに手をかけ過ぎるとせっかく田口に近づいているというのにまた離れて行ってしまいます。ですから麻薬、レイプからみの犯罪により目を光らせ、行方不明になった瀬川涼子が持ち去った麻薬の捜索、あとは宮下さんに東京へ戻ってもらい、湯島と繋がっているであろう高梨愛理をマークしてもらいます。高梨愛理が一番田口逮捕に近い道だと思います。」
 「よし分かった。明日からチームに別れて捜査を開始する。」
時間は夜の21時。ようやく会議が終わる。若菜は物凄く焦っていた。


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