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LADY GUN
【推理 推理小説】

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復讐-4

 若菜は中島探偵事務所の中島に電話をした。
 「瀬川涼子の件は口外しないようお願いします。」
瀬川涼子が中央市にいるという情報を知るのは自分だけだ。警察の目が瀬川涼子に向くのは都合が悪かった。この件を若菜は内密にする事にした。
 湯島武史の死は若菜にとって大きなショックだ。もしかしたら全て計算されていたのかも知れない。亮子と矢沢を逮捕、湯島武史の情報を得た自分が湯島武史に会いに行く…。湯島に対して大きな恨みを持つ瀬川涼子だが居場所が分からない。だからもしかして自分をつけていたのかもしれないと考えた。どうも重要な手掛かりが急に入り出したし捜査も急展開と言ってもいい早さで進み出している。そして若菜が湯島を訪れた数時間後に殺害され、しかも瀬川涼子が中央市にいる…十何年も解明されなかった事件がこの一週間で全貌がほぼ明らかになったのには違和感を感じていた。瀬川涼子が湯島武史に復讐するために警察を利用した可能性が高いと感じた。
 「私のせい…?私のせいで湯島さんが…?いえ絵里さん…、俊太くん、未来ちゃん…、みんな私のせいで…?」
湯島の全てを知り支えていた絵里、生意気でませているが憎めなくいい子だった俊太、俊太の後ろに隠れておどおどしていた姿が可愛らしかった未来…、そんな幸せそうな一家が一瞬にして惨殺された光景を頭に浮かばせると若菜だ頭がおかしくなりそうだった。気付けば屋上にいた。若菜は中央市の方向を向き膝をついて泣き崩れた。
 「ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…」
胸が苦しい。涙が溢れる。次々と事件を解明し調子に乗っていたのかもしれないと激しく後悔する。
 「でもゴメンナサイ…。もう少し…もう少しだけ自分勝手を許して下さい。私はあなた達の奪った人間を味方にしようとしています…。許して下さい…」
若菜の涙はコンクリートの地面を濡らしていた。
 やがて涙は止まった。若菜は立ち上がり空を見上げて目を閉じる。
 「先輩…、お父さん…」
胸の内を全て空に向かい吐き出した。
 「よし…!」
自ら頬を叩き、若菜は亮子のもとへ取り調べに向かった。


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