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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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カミングアウト-5

途端に下っ腹が痛くなってしまう。


大勢の前で発表を控えた時なんかに、きまって陥ってしまうあの緊張感に似ていた。


咄嗟に答えられずに固まってしまった俺の代わりに、歩仁内が口を開く。


コイツは、自分が経験したからって喋りたくてウズウズしてるように見えた。


「そんなの、二人っきりで部屋でイチャイチャしてたら自然とそうなるだろ? キスして、ベッドに押し倒して、あとは自然の流れに任せて……みたいなのが普通じゃないの」


サラリと言ってのける歩仁内に、こっちが赤面してしまう。


そして勝手に想像してしまう、本間さんのヤラシイ姿。


深いキスを何度も交わしながら、押し倒されて、少しずつ服を脱がされていく本間さんの姿が、普段お世話になっているDVDの協力もあって、やけに鮮明な映像で脳内再生をしてしまう。


咄嗟に、反応しそうになった自分の身体を諌めるように、俺は内股に手を挟んでなんとかこらえた。


あー、話を聞いただけで反応しそうになるなんて、そろそろ俺も限界かも。


チラリと横目で修を見ると、涼しい顔で歩仁内の話を聞いているから、やっぱり経験者としての余裕があるんだろうな、なんて卑屈になってしまった。


「あー、やっぱりそんな感じでそういう方向に持っていくわけね。やっぱりオレのムードの作り方が悪かったのかも」


修はそう言って、組んでいた手を天井に向け、思いっきり伸びをした。


「土橋のムードの作り方って?」


「んー、二人でいる時に、不意に沈黙してしまうことってあるだろ? それで何となく顔を見合わせて……。そん時に石澤に言うんだ。“とりあえず野球拳でもやるか”とか、“ヤッてもいいですか”とか。そうすると大体次の瞬間拳が飛んでくる」


ガハハと笑う修を見て、やっぱり俺が抱えてる悩みとは全く違うんだと思い知らされ、ため息が出てくる。


なんだかんだ言って、修は焦ってない。それが伝わったからだ。



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