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LADY GUN
【推理 推理小説】

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婦警のプライド-2

 署に帰り探偵から借りた瀬川涼子の写真を確認する。
 「確かに美人ね…。」
脇にいた石山が溜め息をつきながら言った。
 「抜群に美人だったな。化粧品にもこだわってたみたいだしエステやジムにも良く通ってた。自信満々で眩しいぐらいに輝いていたし正義感溢れるいい刑事だった。しかし美人は美人だが雰囲気が別人のようだ。」
少なくても生き生きとはしていない写真ばかりだ。
 「自信も体も何もかも湯島武史に奪われてしまったって事か…。でも女にとってレイプされるって事は男の人には分からないぐらいショックなんです。」
 「男の俺でもレイプほど卑怯なものはないと分かるよ。AVの中でのレイプなんてしょせん作り物だ。実際はあんなもんじゃない。あの瀬川涼子がここま顔つきが変わってしまうんだ。」
 「はい…。」
写真には笑顔のものなど一枚もなかった。しかし確かに若く見える。30歳前半だと言われても分からない程であった。
 「でも…レイプなんて酷い事された後で風俗の仕事なんてする気になるもんなんでしょうか。」
 「良くある事だよ。人生投げやりになるって言い方が適当かどうかは分からないが、そういう女は結構いるもんなんだよ。働き口がないのもあるんだろうがね。一度貞操観念を失うとなかなか取り戻せないものなんだ。」
 「そうなんですか…。」
涼子のレイプされてからの生活を考えると切なくなってくる。画像を早速いなぎ市中央署長にメールで送る。
 暫くすると俊介から電話があった。
 「画像を金田亮子に確認させたら、間違いないとの事だ。ここで麻薬を取り仕切っていたのは瀬川涼子で間違いない。」
 「そう。分かりました。ありがとう角田さん。」
電話を切り石山にポツリと一言零す。
 「違っていて欲しかった…」
そんな若菜の肩をポンと叩く石山。
 「俺もだよ。」
元刑事の事件への関わりに溜め息をつく。その後すぐに再び俊介から電話がかかってきた。
 「あの工場の監視カメラにトラックに麻薬らしきものを積み込んで立ち去る瀬川涼子らしき女の姿が映っていたよ。時間は今日の早朝の3時だ。田口は恐らく2人を拘束した事に気付いたかも知れない。瀬川涼子がどこかで俺達の様子を見てたのかも知れないな。」
 「そうですか…。でも矢沢からも湯島からも供述は取れたから知られても大丈夫です。それより瀬川涼子がその工場から逃走してもう少しで丸1日。そのトラックのナンバーを解析して高速道路公団に問い合わせて下さい。」
 「ああ、分かった。」
もう深夜だと言うのに疲れを感じなかった。それは今まで煙の向こうにぼやけていたものがようやくはっきりと見え始まったからかも知れない。そんな若菜の精神状態をベテランの石山は分かっていた。
 「あとは俺が対応しておく。だから少し休め、上原。」
 「で、でも…」
そんな若菜にニコッと笑いながら言った。
 「刑事に疲れるな、上原。」
その言葉を聞いた瞬間、張りつめていた気持ちが少し楽になった気がした。
 「わかりました。すみません、少し仮眠します。」
 「ああ。」
若菜はそう言って頭を下げ仮眠室へと入る。畳に横になるとすぐに睡魔に襲われた。
 「お手入れしないとお肌が…ボロボロに…なっ…ちゃ…zzz」
若菜は眠りについた。


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