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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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オアシス-8


 実は、魔獣だったピィは現存する唯一の召喚師に会いに行くと言ってリュディについて行った。
 召喚師は西の大陸に居るのだが、元々はファンの姫なので良く里帰りしてくると聞いたのだ。
 それに、今は亡きファンの守護神であった魔獣とも懇意にしていたらしく、是非とも彼が守った国を見てみたい、とも話していた。

「もっと一緒に居たかったなぁ〜」

 視線を落としてプラプラと足を振るパルに、テオは空に目を向けたまま教えてやる。

「出会いと別れがあるんだと」

「ん?」

「出会いと別れがあって、世界が作られていくって魔物父さんが言ってた」

「ふぅん……でも、やっぱり寂しいな」

 特にリュディは初めて出来た人間の友達。
 地下牢に閉じ込められていた時に優しくしてくれて、自由にしてくれた。
 パルがリュディにした事といったら、彼女を両性具有にした事だけ。

「ねぇ……リュディはアタシの事が嫌いだから離れたのかなぁ?」

 考えれば考える程そうとしか思えなくなってきた。

「嫌いだったら手紙なんかよこさねぇよ」

 テオはパルに手を伸ばして赤毛の頭をガシガシと撫でる。

「例えそうだとしても、オレが好きだから大丈夫。ずっと愛してるよ、パル」

「うん」

 パルは沈んだ表情を明るくしてテオの胸に飛び込んだ。

「テオが死ぬまでね」

「死んだら食ってくれんだろ?だったらお前の中にずっと居られる……死んでもずっとずっと愛してる」

 きゅうっと抱き締めるテオに応え、パルもテオの背中に腕を回す。

 鎖に繋がれた様なのにそれが酷く心地いい。
 身体の外も中も満たされる。

「あ」

「なんだ?」

 腕はしっかりとパルを抱いたままテオは顔を下げる。
 真逆の色の瞳が絡み合い、眩しくて少し目を細めた。

「テオはアタシのオアシス♪」

「は?」

「砂漠でオアシスって大事じゃん?オアシスって心も身体も休まるじゃん?だから、テオはアタシのオアシスなんだ♪」

 つまり、パルには無くてはならない存在。

「相変わらず、すっげぇ殺し文句だな」

 テオは顔を真っ赤にして片手で口を塞いだ。

「ホントだよ?」

「だぁら嬉しいんだって……このっ部屋戻るぞっ」

 無邪気なパルを肩に担いだテオは、急ぎ足で要塞内に戻る。



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