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吉原昼景色
【歴史物 官能小説】

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第三話 深肛悦-3

「歓八さん。大役をおおせつかったってのに、あたい、折悪しく始まってしまったんだよう」

霧舟が幇間に泣きついた。俄への出演で忙しい歓八が、豪丸屋の台所で昼飯をかっ込んでいるその腕を、振袖新造 がつかんで離さなかった。

「始まったって、なにかえ、月の物かえ?」

「そうなんだよ。……どうしよう」

「どうしようって……。そんなら名代を番頭新造(花魁の世話係の年増)にでも代わってもらったらどうなんだ い」

「そういうわけにはいかないよ。せっかくの姉さんのご指名だし。……長い黒魔羅ともやってみたいし……」

最後は声が低くなった。

「だったら、おまえ、後ろの穴を差し出せばいいじゃねえか」

「あんたもそう思う? ……じつは、あたいも後ろの穴だったら……って思っていたんだ」

「自分ひとりでけつ穴の手入れは出来るだろう? まあ、せいぜい頑張りな」

「……穴の準備、手伝ってくれないのかえ?」

「あたしはこれから俄に出るの。そこで他の妓楼の主に芸を認めてもらえりゃ、実入りが今より良くなるからね え」

「薄情者。……尻でまぐわった仲だってのに、なにさ」

すねてしまった霧舟を見て、歓八がやれやれという感じで言った。

「この指で、おめえの尻穴ほぐしをしてやる余裕はねえが、この前稽古してやったことを、よーく思い出してみ な。順を追ってやりゃあ大丈夫。要は身体の中の糞を全部出してしまえばいいんだ。……おめえなら出来るよ」

「……ちょいと不安だけど、……やってみようかね」

もうひと声掛けてやろうとしたところへ、顔なじみの芸者が歓八を呼びにきたので、幇間は振袖新造に目で「頑張 るんだぜ」と語って、その場を離れた。



 路地を隔てて、吉原俄の賑わいが聞こえていた。ひとしきり踊りや芸を披露した歓八が汗を拭き拭き豪丸屋の見 世先で振る舞い酒を飲んでいると、白猫のタマが足元にすり寄ってきて鳴いた。少し撫でてやったが、見世の中へ走り込み、振り向いてまた鳴 いた。どうも呼ばれているような気がして歓八はあとをつける。

 階段を上がって、タマは霧橋の部屋へと駆け込んだ。それに続いて足を踏み入れると、猫の姿はどこにもなかっ た。屏風の陰を見てもいなかった。その時である。奥の部屋から若い女のなまめかしい声が微かに聞こえてきた。

「さては、異人相手の霧舟が、ことをおっ始めやがったか」

歓八は興味をそそられて屏風の内側に入り込み、以前そうしたように、襖の隙間から隣室の様子を覗き見た。

 すっぽんぽんになり四つんばいの霧舟。同じく真っ裸の黒い異人が若い女郎の尻に取りついていた。もぞもぞ指 を動かしている。女陰は月の物で使えないことを、霧舟がどうにかうまく伝えたようで、黒い中指は陰戸ではなく淡い緋色の肛門へと突き立っ ていた。


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