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LADY GUN
【推理 推理小説】

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明かされる全貌-1

 矢沢祐樹の逮捕は15年前の未解決連続レイプ事件から謎である田口徹という人間を解明する為に重大な事である事は確実であった。偶然の遭遇だったが警視庁総監からも注目される重要参考人の確保となった。矢沢の逮捕もごく一部の人間にしか伝えられていない重要機密事案であった。取調の全権は若菜に委ねられた。
 矢沢を取り調べるに当たり、矢沢の知っている事がどんなに大きな事か知っている若菜は重々しい精神状態になる。15年間、いくら調べても犯人が誰なのか解明されずに来た。その謎を握る人間がドアの向こうにいる…、若菜は自分がこれから行う取調の重大かつ重要性に潰されそうになっていた。気を引き締め頬をパンと叩いてからいよいよドアに手をかけた。
 ドアを開けた瞬間、矢沢と目が合った。鋭い視線が怯えた男の目を貫く。矢沢は完全に怯えていた。
 「マンモスダディさん、元気かしら?」
ニコッと笑う。
 「じ、実は俺は何も知らないんです!!昨日の話は酔っ払って嘘を…」
矢沢の言葉を最後まで聞かず、若菜は机を激しく叩きつける。
 「ガッカリさせないでよ、マンモスダディさん…、いや…矢沢祐樹…。」
ビクッとした矢沢は体が固まってしまった。小学生の頃、悪さをして怖い女の先生に起こられ萎縮した時にタイムスリップした錯覚を感じた。
 「嘘は許さない…。全てを正直に話しなさい…。私の期待に応えてくれない場合…」
 「場合…は…?」
怯える矢沢の顎をソフトながらも冷たく感じる手で抑えゆっくりと悩ましく囁くように言った。
 「ゆ・る・さ・な・い…」
凄い殺気だ。かかった微かな吐息で凍り付きそうだった。矢沢はもう少しでチビりそうなぐらいに震え上がった。
 「怯えてるの…?昨夜は自信満々で私の体に触れて来たじゃない…?昨夜のような男ぶりで私をイカせてよ?満足させてくれるわよね…?」
神と一緒に警察を散々弄んで来た矢沢。警察など怖いと思った事はなかった。しかしそれも逮捕されずにいたからだった事に気付く。逮捕された今、逃げ道はない。矢沢は初めてこの時、警察の怖さを知る事になった。
 「覚悟を決めてよ…ねぇ?」
冷たい手で髪を撫でられた矢沢の恐怖は限界を超えた。
 「わ、分かりました…。嘘はつきません…。全て正直に話します…。」
若菜はニコッと笑う。
 「素敵だわ。ンフッ…」
そう言った若菜にとてもじゃないが視線を向ける事は出来なかった。同席した石山と現地刑事も震えそうな程の迫力と冷酷さだった。もしかしたら矢沢を殺害してしまうのではないかと感じさせる狂気…尋常ではなかった。
 そしていよいよ神の全貌が明らかにされるのであった。


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