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LADY GUN
【推理 推理小説】

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亮子という女。-4

 若菜が腕組みをしながら亮子に聞いた。
 「そのモデルって…、高梨愛理?」
亮子は驚いた表情をして若菜を見た。
 「どうしてそれを…?」
石山と杏奈も不思議そうな顔をして若菜を見る。特に杏奈にとっては聞き覚えのある名前だったからだ。
 「私の偉大なる先輩の捜査資料に、高校時代の田口が上級生の読者モデルとつるんでた事が記されてあったからね。その読者モデルが高梨愛理。今ではあのKan Kam誌の専属モデルよね。すっかりカリスマになったものね。」
静香の捜査資料は何度も読み返した。当時高校生だった田口と愛理を実際に父親である正芳と静香が事情聴取に当たっていたとの事からなおさら覚えている。
 「華やかなカリスマモデルとして活躍する一方、常に黒い噂が絶えないのよね、彼女は。麻薬パーティーで見たとか、暴力団幹部の女だとかゴシップ系の噂…。宮下さんも馴染みが深い名前なんじゃないですか?」
 「うん。以前からマークはしてるんだけど、なかなか尻尾が掴めなくてね。でも先日有名バンドのハゲ&アシュラのボーカルのアシュラが麻薬所持の疑いで逮捕されたでしょ?あの時一緒に捕まった女性は高梨愛理の元マネージャーだったのよね。だからその元マネージャーの佐山京子を徹底的に調べたんだけど、高梨愛理との繋がりは見つけられなかったの。メールの文面からは高梨愛理と思われたものも、その携帯は海外から送信されたとの調べがあって、履歴の日時には高梨愛理は日本にいた事が証明されたの。なにかしらの手を使って偽装してるんだろうけど、あと一歩のところでいつも届かないのよね、彼女には…」
 「恐らく高梨愛理からこのクリスティーン王女にもメールは送られているでしょう。さっき田口からメールが来た時に所有者情報を調べて貰ったんですが、なんとそのメールはフランスから送られて来てました。明らかに何か偽装してます。恐らく高梨愛理からのメールも同じでしょう。調べても高梨愛理には行き届かないはずです。」
そんな若菜を見て亮子は思う。
 (あの人、いつまで私をクリスティーン王女と呼ぶんだろう…。)
いい加減恥ずかしくなってきた。
 「でもクリスティーン王女はいなぎ市で麻薬売買をするに当たって重要な役割を果たしていたらしいわね。麻薬元締的役割を果たしていたんでしょ?」
 「そんなたいそうな呼び名かどうかは分かりませんが、でも麻薬の管理は任されてました。いなぎ市で麻薬の隠し場所を知っているのは私しかいませんから。私を通さないと誰も麻薬を手にする事は出来ません。」
麻薬の話になれば杏奈の出番だ。
 「麻薬はどこに隠してあるの?もしかしてあの膣楽園の中?」
杏奈が麻薬の隠し場所について質問した。しかしその答えが若菜達の捜査を根底から覆してしまう言葉になろうとは予想だにしなかった。
 「いえ、違います。好山工業団地内にある元食品工場の中です。倒産して空いていた工場を買収してそこに保管しています。」
 「なるほど。食品工場ならトラックで大量の麻薬を搬入しても誰も怪しいとは思わないわね。」
そしていよいよ問題の発言が亮子の口から話された。
 「私は膣楽園には行った事がありませんから。」
若菜の動きが止まる。
 「えっ…?」
頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受けた。
 「行った事が…ない…?」
聞き間違いか、それとも亮子が嘘をついているか…、どちらでもない事は分かっているのに真実を信じたくない若菜は顔が強張る。
 「ええ、一度も。」
 「じゃあ膣楽園へはどうやって麻薬を?」
 「膣楽園で働いているという女性が私に電話してきてアポを取り約束した場所で渡してました。場所はその都度違います。」
 「その女性はどんな人?」
 「若くはないと思います。でも美人で、見る人によっては30歳前半に見えるかな…。でも40前後だと思います。とにかく美人でした。それが誰だかは分からないけど…。」
 「…あなたは加藤綾美さんに会った事がある…?」
亮子はきっぱりと答えた。
 「あの行方不明のアナウンサーですか?ありません。」
一番聞きたくない言葉だった。若菜はショックで言葉も出なくなる。
 (リョーと呼ばれた女は亮子じゃない…!見当違いだったわ!リョーと呼ばれていたのはその40歳前後の謎の美人だったんだわ!)
亮子を確保して捜査が大きく前進したと思っていたが、遠回りしてしまった事に気付いた。田口にとってそのリョーこそが手足となり麻薬を密売していたとなればこの亮子は表向きだけのもの…いわゆる捨て駒だったのではないかと思った瞬間、全身に衝撃が走る程の事に気づく。
 「ま、マズいわ!」
若菜はそう大声を出すと慌てて西山に内線をかけた。
 「急いで好山工業団地にある食品工業に向かいますので準備をお願いします。あとクリスティーン王女を同行させる許可を!!」
クリスティーン王女とは何だと言う質問に答える若菜を見て、緊迫した雰囲気の中、亮子は1人恥ずかしくてたまらない思いをしていた。
 (いい加減止めて欲しいよ…)
そう思いながら若菜達はその食品工場へと向かった。


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