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It's
【ラブコメ 官能小説】

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-2

帰りの電車に揺られながら、問題を思い出す。
正直、一問も分からなかった。
「あそこのさー、訪問のやつの問題のとこって2番だよねー?!」
分からなさすぎて、出来たのか出来ていないのか、それすらも分からない。
ヤバいとも思わない。

やっと終わった…

それだけ。

手応えすらない。
「ねー、陽向ー。聞いてるー?」
「えっ?!」
「保健師ちょーやばい。落ちてそー。ま、看護師受かればいっか!」
奈緒が呑気に笑う。
「あたしも出来てないよ。看護師受かれば働けるしさ、明後日また頑張ろーね」
自分が出来てないと言えばみんなが安心する。
1年生の頃からそうだった。
毎日遅刻、レポートもギリギリ、テストはまるでダメだし、もちろん成績は下から数えた方が遥かに早い。
高校の頃までは頭良かったんだけどな…。
なんでか知らないけど、大学に入ってからめっきり頭が悪くなってしまった。
遊び過ぎかな。
ぼーっと考えていると、乗り換えの駅まで着いた。
「じゃーね!また明後日!」
奈緒たちが手を振る。
「うん、頑張ろーね!」
陽向も笑顔で手を振った。

家に着いたのは18時ちょっと前。
今日、明日勉強すれば全て終わる。
陽向はラストスパートだ、と1人で意気込み、荷物を放ったらかしにして机に向かった。
今朝、湊がくれた赤い小さなお守りを問題集の右に置く。
よし、頑張るぞ。



本番はあっと言う間に終わった。
湊がこの前くれたものと同じチョコを午前と午後で半分ずつ食べたい事くらいしか記憶にない。
ただならぬ開放感に襲われる。
しかしまだ、帰ったらシャーペンを握りしめなきゃいけないという感覚が抜けない。
なんだか変な感じだ。
「うしっ!飲み行くっしょ!」
会場の正門をくぐり抜けた時、楓が満面の笑みで言った。
絶対に誰かしら言い出すと思っていた。
陽向、奈緒、千秋は「行くー!」と爆笑した。
そのまま電車に乗り、学校の最寄り駅にたどり着く。
目に入ったチェーン店の居酒屋に入り、4人してビールを頼む。
「てか、わざわざ学校の近くまで来る意味!」
「いやー、うちらの聖地じゃん?」
「間違いなーい!」
出されたビールを4人で持つ。
「はい、じゃあひなちゃん何か言って」
「えっ?なんであたしなの。いつも奈緒の係でしょこれ」
奈緒の無茶振りに陽向は笑った。
「いーのいーの。あー、ほら、うだうだしてると泡がなくなる!」
「うーん、えーと…みんな国試お疲れー!かんぱーい!」
陽向の合図に3人が笑う。
楽しい飲み会のスタートだ。

1時間後、陽向は虚ろな目を開くのに必死だった。
「はい、陽向眠そうな目しすぎー。罰ゲームー」
「うぇー…。もう飲めない…」
と、言いつつ陽向は出された梅酒ロックを飲み干した。

飲み会が始まった頃、奈緒が恐ろしい提案をした。
「今日は国試お疲れ祝いだから、特別な飲み会だよ」
「そりゃーそーでしょ」
「てことで、ルールを決めます」
「え?」
奈緒の言葉に3人がキョトンとした顔をする。
「陽向は寝るの禁止」
「えー!無理そんなの」
「楓は脱ぐの禁止」
「えー!飲んだら暑くなるもん、無理そんなの」
「キャミソールになったあかつきには…」
「なによ」
奈緒は不敵な笑みを浮かべ「千秋は…」と続けた。
「千秋はねー、男ネタ禁止」
「えーっ!有り余るほどあるのにー!」
千秋が残念そうな口調で言う。
「勉強しかすることなかったのに、なんかあったの?!」
奈緒と同じくらい男好きの千秋だ。
勉強してる間に何かしらあったに違いない。
陽向の言葉に千秋はニヤッと笑った。
「知りたい?」
「知りたい知りたい!」
「でも男ネタ禁止くらっちゃったからなー」
「えーっ!!!教えてよー!タンマ使えないの?奈緒!」
陽向が言うと、奈緒は「ひなちゃんの可愛いお願いに免じて今はタンマ!」と言った。
全員で爆笑する。
「で、なに?」
陽向は目を輝かせて千秋の顔を覗き込んだ。
千秋がぷっと笑う。
「なに?なんで笑うの?!」
「てかさー」
千秋は隣に座る陽向の髪を撫でて抱きしめた。
「もーっ、陽向ホントに可愛い!」
向かいに座る楓と奈緒が笑い声を上げる。
「こんな可愛い彼女いたら五十嵐もデレデレだろーね」
「千秋痛いっ!!今は千秋の話でしょっ!」
「そーだそーだ」
千秋は陽向の頭を撫でて笑った。
「五十嵐繋がりなんだけど…」
「え?」
「けいちゃんと付き合ったんだ」
3人の目が丸くなる。
「けいちゃんって、あのインテリ系のけいちゃん?」
千秋がコクっと頷く。
「なんでまた!」
「あー見えてけいちゃん、意外と肉食なのー!」
千秋はキャーキャー言ってビールを一気に飲み干した。


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