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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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彼の涙-7

「おっはぁーー!♪」

一人たんたんと学校へ向かう彼の肩を叩く私。

「あ、杏……」
「どったの?元気ないなぁー」

何なのよ一体、此間まであんなに元気でハツラツとしていたのに、最近じゃまた、と言うよりも、より一層暗くなっちゃって。

「何ー?暗いぞ絆ぁ!何かあったの?」
「別に、何も……」

そう言って、私を残し先に学校へ向かう彼。本当にどうしたって言うのよ。
 

閑静な住宅街、私は今、彼の家の前に居た。
 全く、嫌な事があってもまるで他人に打ち明けようとしない、アイツの悪い癖だ。ずっと前に絆が自身の病を打ち明けず一人苦しんで居たあの日を思い出す。あの時は彼を尋問して無理やり吐かせたけれど、今回も同じ手段でボロを出させよう思ったが、流石に可愛そうな気がして、私自身、彼に本当の事を打ち明けさせた時だって反省している。
 でも!根本的に悪いのは絆よ、恋人である私にも話さない何て、そんなのって。

私は、そんな複雑な思いを抱きつつ、インターホンのボタンに触れる。
 絆が出る事は無いだろう、打ち明けた本人が出ては意味が無いから。だが大丈夫、彼が
今日も部活があって、念の為、美術部に寄り、筆を走らせてるのを確認済み、まぁ目が何処か暗めではあったが。

「はぁーい」

扉から出てきたのは、いずみちゃんだ、彼女も何処かやつれているように見えた。

「あっ、杏お姉ちゃん」
「やっほー、お久しぶり、最後にあったの私の高校の入学以来だね」

高校に入学した祝いに、お互いの家族が会って、回転寿司に一緒に食べに行った以来、後は絆の会話からしかいずみちゃんの様子を思い浮かべるしか手段は無く。

「そうだね、あの時お姉ちゃんってば寿司の皿20枚くらいは並べてさぁ、お父さん驚いてたしょ」
「30皿だって!」
「そこ威張るんかぃっ!ホント寿司大好き何だから」
「新鮮なお米に、死んで間もない魚介類を、無愛想な堅物のとっずぁんが慣れた手つきで握り、それを舌でじっくり味わう、くうーー溜まらん!」

「あはは、あっお兄ちゃんだったらぁまだ」
「いや、良いの良いの、あのヤローに会いにきた訳でないし」
「あのヤローって、何かあったの?」
「別に、ただ最近元気ないからさぁ」
「そっかぁ、それで態々学校帰りに訪ねに来た訳だ。ほんとアレはあんま喋んねーからなぁ。いやー健気ねぇーウフフ」
「そんなんじゃないしぃー、で、何か心当たりとかある?」

いずみちゃんは、そう訪ねられると先ほどの勢いが消え、目を潜め床に視線を落とす。

「……まぁ、あんな事があったから」
「えっ?あんな事ってぇ?」

いずみちゃんに、それを聞こうとするとソコに

「何してんのー?お友達?」

訪問者を出迎えたものの、向こうで喋ってばかりの娘に、何事と居間の扉を開け、やってきた見覚えのある女性。

「あ、オバサン、こんにちはお邪魔しています。」
「……杏ちゃん」

重苦しい空気、オバサンは私が嫌いなのだ、平たく言えば。私が病弱な息子サンを振り回しているので、何時も何処と無く煙たがれて。

「どうしたの?絆なら」
「いや違うんです、今日は絆サンの身に何かあったのかそれを聞きたくて」
「だったら直接彼に聞けば良いでしょ?こっちだって色々と忙しいんだから、二人のそんな内輪事に一々やってこないでくれる?」
「うっ、すみません義母さん」
「つっ!」

舌打ちされた、私ってばすぐふざける。この分だと親切に教えてくれそうに無い、どうしようか困っていると、隣で母の悪態に嫌気が刺していたいずみちゃんが、言葉を発する。

「お母さん、そんな意地悪言わないであげてってばぁ、昨日の葬式の件、話してあげれば
いいでしょっ!?」

葬式?何の話?

「ふぅ……」

いずみちゃんに言われ、観念したかのように、私を家へ招き入れ。昨日、彼の大好きな叔父さんって人が、癌で亡くなり葬式に参加した事実を知る。



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