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LADY GUN
【推理 推理小説】

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先輩は正しかった。-9

 その頃ホテルのバーで大人の酒を飲んでいた石山と杏奈。若菜がどんな苦労をし、どんな努力をしてきたのかを杏奈は石山に聞いていた。その壮絶な若菜の話に杏奈は感銘を受け、そして涙ぐんだ。
 「いい子なんですね、上原さんは…。でも凄いです。お父様の死、大好きな先輩の死を乗り越え、受け止めて自分のすべき道をしっかりと考え、それに向かって着実に前へ向かって歩いてる…。尊敬します。」
石山がウィスキーをグッと飲み干し、そして言った。
 「いや、あいつは前へ向かって歩いているんじゃない…。例え足を折っていても全力で走っているんです。あいつは元々そんな強い人間じゃない。止まらない為に走っているんですよ。だから俺達はあいつの足をしっかりと支えてやらなければいけない。上原は俺から見れば娘ぐらいの年頃です。俺の方が全然先輩です。でも喜んで支えてやろうと思える…、そんな人間なんですよ、上原は。」
杏奈は深く頷く。
 時間はもう深夜2時を回っていた。2人は部屋に戻り明日の捜査に備える事にした。石山と俊介は5階、若菜と杏奈は6階に部屋をとっていた。エレベーターで先に石山が降り、1階上で杏奈が降りた。
 部屋の鍵を開け中へ入るとドキッとする杏奈。何やら穏やかではない声が聞こえる。
 「や、やだ…、私ビデオなんかつけてないわよね!?」
テレビに駆け寄る。もしかして誤作動でアダルトビデオチャンネルをつけてしまっていたのかと思った。
 「スイッチ入ってない…。じゃこれは…?」
耳を済ますと隣の部屋から聞こえてくるのが分かった。若菜の部屋からだ。若菜がAVを見ているのかと思った。が、しかし…。
 「ああん、俊介…、タフゥ!!」
その一言にドキッとした。
 「う、上原さんの声…??し、俊介…!?」
壁に耳をつけなくてもはっきり聞こえる。さらに声を聞く杏奈。
 「ハァハァ…若菜…、気持ちいいよ…。見て?ビンビンの俺のチンポと若菜のグチョグチョの汁が絡み合ってるのを…。」
 「ああん…いやらしい…。あんなにネチョネチョしてる…」
瞬時に顔が赤くなる杏奈。
 「上原さんと角田さん…!?あの2人、そういう関係だったの…!?」
驚く杏奈。2人の愛の囁きに体中が熱くなる。
 「でも…それも大切なのかもしれないわね…。」
走り続ける若菜には同僚の支え以上の者も必要だと感じた。亡くなった先輩である静香の彼氏との関係を謎に思いながらも、きっとチンケな理由ではなくそれなりの理由が2人にはあるんだろうなと思い、俊介と若菜の愛を応援する気持ちでいっぱいだった。
 しかしそれはそうとして、男女の絡み合う愛の声を聞かされてしまった杏奈の心と体は刺激を与えられてしまった。部屋に響く声に目がトロンてしてきたのは酔ったせいではなかった。


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