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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ソノゴ-9


 リュディは慌てて後ろを向き、涙を拭う。

「リュディヴィーヌ」

 ランスはリュディに近寄り、そっと後ろから彼女を抱きしめた。

「ランス様」

 こんな事をされたら困る。
 また勘違いしてしまいそうになるから。

「会いたかったです。リュディヴィーヌ」

 ランスは優しいから……人が喜ぶ言葉を知っているから……これは社交辞令だから……リュディは勘違いしないように目をぎゅうっと閉じて箒を握る手に力を入れた。

「お、おたわむれを……もう……私には関わらない方が……宜しいです」

 ランスにとどめを刺される前にと、リュディは冷たく言い放つが、声が震えてしまっては効果は余りない。

「リュディヴィーヌ?」

「もう……旅をしていた時とは……違います……貴方は……ランスロット王子です……」

 気まぐれや遊びで相手にするなら、もっとノーマルな相手が良い。

「リュディヴィーヌ」

「ですから……」

「リュディヴィーヌ」

「……っ」

 身体に回された腕に力がこもり、息がつまる。

「すみません」

 ランスの口から聞きたくない言葉が出て、リュディの涙は益々止まらない。

「実は、ストーカーしてました」

 思ってもいなかった言葉に、リュディの涙が引っ込んだ。

「城の者を使って、貴女を見張ってました……すみません」

「何……故?」

「その……ファンに着いた時、家族に紹介するのを断られたのが、思いの他ショックでして……」

 急いで魔法学園に行ったのが、まるでランスから逃げる様で……正直、怖じけ付いた。

「私も性急すぎた自覚はありますが……その……少し、時間を置いた方が良いかと思いまして」

 そのくせ、気になって仕方ないので配下に見張らせたり、ノアに様子を見に行ってもらったりとコソコソ。

「私の心は変わりません。ずっとずっと貴女が好きです」

 今度は嬉しくて堪らなくて涙が溢れる。

「貴女を困らせているのは分かってます。でも、どうしても……諦め悪くて、すみません」

 リュディは首を振ってランスの腕に手を重ねた。

「緊張して……暴走したら……大変だと思いまして……」

 暴走して株分けなんかしてしまったら、反逆罪で捕まってしまう。



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