投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 227 アネクメネ・オアシス 229 アネクメネ・オアシスの最後へ

ソノゴ-7


「ボクはね『他人の事を思いやれる心』ってのがポイントだと思うんだよねぇ」

 自分の事だけでなく、周りの事も考えて行動できるもの。

「君の中の吸血蔦ってさ。繁殖の事だけ考えたら、君を苗床にするのが1番良いと思うんだけどさぁ……それをしてないじゃん?」

 確かに、リュディの体内に居るのだから、そこから栄養をとって成長するのは簡単な事だ。
 なのに、リュディから吸うのは必要最低限の養分だけ。
 株分けするのもリュディが危険な時だけだ。

「多分、君を大切に思っているんじゃないかな?」

 お母さん、だと思っているのかも知れない。
 それを聞いたリュディの目から滴がポロポロ零れた。

「私……この子を……殺したく……ない」

「うん」

「何でも……やります」

「うん。手伝うよ」

 そういうわけで、リュディと体内の吸血蔦は分離魔法で分かれ、リュディとマンドラコラになったのだが……分離魔法は凄まじく辛かった。

 魔力貯蔵庫だと紹介された40代の女性に抱きしめられ、有無を言わさず分離魔法は始まった。
 身体中に不可思議なエネルギーが満ちて、隅々まで駆け回っている感じ。
 痛くはないがまともに息が出来ないし、自由に動けないし……そもそも、身体が細かく分解してしまった様な感覚で、どうやって動いていたのかも分からなくなっていた。
 とてつもなく長くて短い間に魔法は完了したらしい。
 らしい、というのはリュディは途中で失神し、その後1週間意識不明だったからだ。

ーーーーーーーーーーー

「ランス様がお気になさる程、リュディさんはか弱く無いですよ?」

 当時の事を振り返ったノアは、綺麗に皺を伸ばした報告書をランスに返す。
 魔法使いであるノアでさえ、分離魔法だけは体験したく無いと思うのに、あれだけの事を、魔力も持っていない人間がやり遂げたのだ。
 正直、驚いたし同時に尊敬した。
 自分を持っていないふわふわした流され易い女性かと思っていたが、芯のしっかりした立派な人物だった。

「しかしだね!やはり男としては女性を守るのが義務だと……っ」

「はっきり申し上げますが……これでは立派なストーカーです」

 しかも、人を雇ってリュディを見張らせるなど……自分自身でやるより卑怯で質が悪い。
 被せ気味で話すノアに、ランスはがっくりと項垂れるのだった。

ーーーーーーーーーーー



アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 227 アネクメネ・オアシス 229 アネクメネ・オアシスの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前