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LADY GUN
【推理 推理小説】

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新パートナー-8

 「ただし、その署員を特定してもまたそこから先があるのではないかと思います。」
 「どういう事だ?」
 「アクセスログなどを調べて怪しい人間を割り出すのは簡単ですよね?田口がそんな簡単なゲームをするわけがない。もしかしたら私達が特定した署員は全く身に覚えがない事かもしれません。その署員のパソコンを使った第三者の犯行かもしれないし、他のトラップがあるかも知れない。特定したからといってすぐに問いただすのは危険です。私達が内密者の存在に気付いた事を田口に知られてしまいますからね。内密者がいる可能性が高い以上、慎重に捜査しましょう。」
 「そうだな…、分かった。」
島田と中山にとっては若菜の大きな成長を感じさせた。
 「ではまずリョーという女性を捜査しましょう。いなぎ市中央警察署と連携してこの数日疑わしい事件があったかどうか調べて分析します。宮下さんには麻薬を欲しがる主婦になってもらい売買の現場をおさえてもらいます。石山さん、フォローお願いします。」
 「ああ、任せろよ!」
 「私と角田さんは昼間聞き込みをして夜は一般人になりすまし繁華街をパトロールします。いなぎ市は夜の犯罪が多いから、そこから何か掴めるかもしれないんで。」
 「気をつけろよ?」
島田が心配そうに言った。
 「はい。では明日の10時に出発します。」
全員準備にかかった。島田からいなぎ市中央警察署長の岸田に連絡が行く。前回同様に西川刑事が全面協力してくれる事になった。そしてたった1人の女性警察官の南山渚も捜査に同行する事になった。渚は若菜と一緒に仕事をするのを物凄く楽しみにしているとの事だった。
 捜査記録には嘘の内容を記述した。全員が海沿いを中心に強姦の取締りを行い麻薬所持者を検挙する目的だと書いた。内密者がいるとすれば海沿いでの麻薬売買はほぼ行われないだろう。かと言って田口が麻薬売買を止めさせる訳がない。海沿いを捜査する警察を尻目に、あざ笑うかのように他の場所で売買は行うはずだ、若菜はそう考えていた。いずれにしろ明日の捜査で内密者がいるかいないかがはっきりする。少しずつ捜査は前進していくのである。
 杏奈にはセキュリティー万全のマンションが準備された。街中にある高級マンションで安心できるマンションだ。おかげで何の心配もせずに職務を行える。
 若菜の送り迎えは石山から俊介にバトンタッチされた。2人が抱き合ったのはあの日の1回のみだ。といってもさほど日は経っていないが…。しかし2人きりになるとやはり意識してしまう俊介だった。
 それに反してやる気満々なのは若菜だった。セックスの味を覚えてしまったその体は疼いている。今すぐにでもしたいぐらいだった。
 「俊介さん、いなぎ市出張中、エッチしましょうね…?」
 「えっ…?」
ドキッとしてしまう俊介。
 「いいじゃないですかぁ、不倫でも何でもないんだし〜。」
 「でも付き合ってもないのに…」
 「セフレでいいじゃないですか。」
 「せ、セフレ…!?」
 「はい♪私は田口逮捕まで誰とも付き合うつもりはありません。でもエッチはしたい。俊介さんだってたまっちゃうでしょ?」
 「た、たまっちゃうって…」
 「いいじゃないですか〜。こんな若い子がタダでやらせてあげるって言ってるんですから〜。私、悶々した中でちゃんとした捜査できなぁい。」
 「い、いや…しかし…」
煮え切らない俊介に若菜はイラッとして怒鳴る。
 「きっちり私の体の潜入調査はしてもらいますからね!!」
 「…」
答えに困る俊介。そして若菜の家に着いた。
 「じゃあね、俊介さ〜ん♪」
 「あ、ああ…」
俊介の目にはまだ静香について回っていた時の屈託のない明るい笑顔を浮かべていた若菜にダブって見えた。
 「フフ、すっかり女らしくなったもんだわ…。」
ボソッと言い微笑みながら手を振り車を走らせた俊介だった。新たなパートナー…、仕事でなのかプライベートでなのかは良く分からなかったが、守るべき人である事だけははっきりと分かる俊介だった。


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