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LADY GUN
【推理 推理小説】

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新パートナー-6

 捜査の為に見ておきたかった強姦動画の数々に杏奈は恐ろしさと吐き気を感じた。麻薬によって壊れていく人間は何度も見て来たが、強姦動画の生々しさに杏奈は震え上がる。
 「この神と呼ばれた男が世間を騒がしていたのは私がまだ高校生の頃だった。怖いと感じたけれども、そんな一言で済むような生易しいものじゃないのね…。でも許せない。自分の欲望の為に女性を犠牲にして、しかも何とも思わないなんて…。」
恐怖か怒りか自分でも分からないが体が震えていた杏奈。
 「この神と呼ばれた男の方は、まだましでした。被害女性は何かしら悪事を働いていた人ばかりで悪を罰する的な感覚があり、実際被害女性者達から被害を受けていた方達からは支持する声が多かっんです。犯罪は犯罪ですが。でも田口は違う。何の罪もない女性を狙い欲望のまま強姦を繰り返しています。麻薬も使い金を吸い、そして人々を麻薬で狂わせ楽しんでいる。田口は警察とゲームをしているのです。捕まるか捕まらないかの。田口がこの事件を起こしたのは私の先発である皆川静香さんに復讐する為。その目的を果たした以上、あとはゲームなんです。」
 「許せない…。」
杏奈は気持ちを落ち着かせようと何とか息を整える。
 「大丈夫ですか…?」
杏奈を心配する若菜。
 「うん…。」
杏奈はペットボトルに入ったミネラルウォーターを一口飲んだ。
 「田口徹は知れば知る程に怖いわね…。私は何度もおとり捜査で麻薬売人のもとへ潜入してきたけど、でも田口徹のもとへ行くのは怖いわ…。こんな恐怖は初めて…。」
百戦錬磨の杏奈が恐怖を抱くのは相当なものなのであった。
 「田口は私に憎しみは感じていないし、眼中にないでしょう。だから私ごときに家族や大切な人を使って脅しをかけてくる事はないと考えてます。それに例えば私の家族を誘拐して私を脅せば身動きとれなくなる。そんな簡単な事で田口はゲームを楽しめません。そんな一般人の考えるような事は田口のプライドが許さないでしゅう。だから追っても追っても追いつけない私や警察を見て逃げる楽しみを得ているんでしょうね。だったら先回りするしかない。田口の性格、行動を分析して田口の行動を予測するしかない。だから私は吐き気を催しながら動画を何度も見ました。涙を流しながら何度も見ました。今でも見るのが辛い。女性警察官も大勢被害に遭いました。今では全国に数える程しか残ってません。でもいつか女性警察官がまたたくさん現れる事を願ってます。だから私は頑張る。みんなのお手本となり、私を見た女性が警察官になりたい…、そう思ってもらえるように私は強く、カッコ良く、美しい警察官になりたいんです。女性警察官の活躍は父や先輩の願いでもありましたから。」
力強く語る若菜に惚れ惚れする。
 「上原さん、やっぱりあなたは凄いわ…。」
心底若菜に惚れてしまった杏奈だった。


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