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LADY GUN
【推理 推理小説】

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新パートナー-4

 挨拶を終えると、なぜ捜査に麻薬捜査官が必要なのかを説明する。
 「いなぎ市で田口はリョーと呼ばれる女性を使い麻薬を拡散していました。そのリョーと呼ばれる女性が誰なのかは今のところ掴めていません。」
田口が被災地いなぎ市で行っていた悪行を杏奈に伝えた。
 「田口徹は相当キレる男ね。そして無謀とも思える大胆さもしっかりとリスクマネージメントしているからこそそう簡単に捕まらないのよね。麻薬を扱う大元は大抵表舞台には出て来ないのが普通だけど田口は出てくる。人ごみに紛れて平気でそこらを歩いている。太陽の下を堂々と歩く犯罪者なんてごく稀だわ。手強いですね。」
そう言った杏奈を見て若菜は言った。
 「あの…私に敬語は止めてくださいよ…。全然年下だし気を使わないで下さい。」
 「え〜、だって尊敬する憧れの人に年下も年上もないですよ!私、こんなに尊敬出来る人、初めてなんですよ?」
 「あ、ありがたいんですけど…お願いしますよ〜。何かソワソワしちゃうんです…。」
 「そうですか…。うん、分かりました。でも私がいつも尊敬してる事は忘れないで下さいね?」
 「ほ、ほら、また敬語…」
 「あ…」
顔を見合わせて笑った。まだ会って少ししか経っていないが、杏奈がいい人だということは十分に分かった。心のどこかで自分を監視するために送り込まれてきたのではないかと思っていた若菜だったが、その気持ちは捨てる事にした。事実杏奈は本当に若菜に協力する為に派遣されてきただけなのであった。2人はすぐに田口事件の話に戻る。
 「田口は補償金を狙った麻薬売買は恐らくリョーと呼ばれる女性に任せて次のターゲットに狙いを定めてると思うんです。1万の麻薬が2万3万にもなるようなターゲット…。」
杏奈はすぐさま答えた。
 「芸能人ね?」
すぐにその答えに辿り着いた杏奈に驚いた。
 「東京から麻薬捜査官を呼び寄せたのはその為でしょ?まずはもう一度いなぎ市を徹底的に捜査する。でもそれは田口を欺く為の行動。警察がいなぎ市に目を向けていると思わせておいて本丸は芸能界。」
鋭すぎる杏奈にさらに驚く若菜。
 「はい。私が東京に行けば芸能界を狙っているのが田口にバレてしまう。だから東京から麻薬捜査官にこちらに来るようにお願いしたんです。田口はどのルートで情報を得るのか分かりませんがこちらの動きを把握してますから、いつも。宮下さんが東京に行っても、それは東京に行くのではなく東京に帰る訳ですから捜査目的で東京に行く事を田口の目から欺けると考えたんです。私の狙いは芸能界です。田口は東京にいると私は考えてます。」
杏奈は惚れ惚れしながら言った。
 「やっぱ上原さん、凄いわ!ますます尊敬しちゃうわ!うん、間違いない。私は上原さんの考えに賛同するわ。任せて?芸能界捜査なら得意だから!」
 「あ、ありがとうございます。」
同性の理解者がこんなに心強いとは思わなかった。そんな若菜はふと思う。
 (先輩も私の事、そう思ってくれてたのかな…。)
そこまでは思ってなかったか…、そう思い苦笑いしてしまった。
 若菜の捜査方針を知るのは島田と中山、石山、そして俊介と杏奈だけだ。田口が情報を掴んでいるという事は内密者がいるのではないかと考えている若菜は慎重に物事を進める。もし内密者がいるようなら田口に十分に勝てると考えている。なぜなら内密者の情報から警察の動きを掴むなどという事は凡人にも出来る事だからだ。内密者がいないのに情報を得ている方が得体の知れない怖さを感じる。田口を必要以上に難敵扱いしてはいけない。田口の背中からわずかに出た糸を掴み少しずつ糸を手繰り寄せ、最後には丸裸にしてやる…そう思っている。


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