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LADY GUN
【推理 推理小説】

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新パートナー-3

 田口徹逮捕に向けキーポイントとなるのが麻薬である事が分かった若菜は麻薬捜査官を迎え入れる事を決めた。麻薬捜査官はおとり捜査が出来る。より踏み込んだ捜査には麻薬捜査官が必要不可欠と判断したからだ。申請してから僅か2日後、早速麻薬捜査官が派遣された事からもこの事件を警視庁が最優先で最重要視している事が分かる。
 「初めまして、宮下杏奈と申します。本日から暫くこちらにお世話になる事になりました。宜しくお願いします。」
 警視庁本部から派遣されてきた麻薬捜査官、宮下杏奈は33歳の美人だ。若菜よりもさらにキリッとした顔立ちでいかにもできそうな雰囲気を持っていた。
 「上原若菜です。宜しくお願い致します。」
近づき難い雰囲気を醸し出していた杏奈の表情が一変する。
 「会いたかったわぁ、上原さん!」
突然手を握り満面の笑みを浮かべた。若菜は驚きポカンとした。
 「え…?」
どこかで会った事があるのだろうか、思い出せない。
 「ど、どこかでお会いしましたか…?」
 「覚えてないかぁ。去年の技能検定競技会で柔道で対戦したのよ、あなたと。」
 「えっ…?わ、私あの時は心に余裕がなくて必死で…。すみませんてした…。」
杏奈は笑顔のまま言った。
 「私も自信あったの。でもまるで子供のように投げられて秒殺されたわ!でも嬉しかったの。女性でこんな凄い人がいるんだって!上原さん結局優勝してさ、それからずっと憧れてたの!今回お話があった時、すぐにOKしたわ。上原さんと一緒に仕事できるなんて嬉しくて嬉しくて!宜しくお願いします!」
 「き、恐縮です…こちらこそお力をお貸し下さい。宜しくお願い致します。」
固く握手を交わした。
 杏奈の派遣は若菜に対する配慮でもあった。田口事件で女性署員が激減してしまった現在、同じ女性が近くにいることでメンタルをケアしてやる事も大事だと考えた本部が麻薬捜査官として男性にも劣らない優秀な杏奈に白羽の矢を立てたのだ。警視庁本部は若菜に田口事件の全てを任せる判断をしていた。若菜は自分が思っている以上に警視庁内において重要な立場にいるのであった。
 「宮下君は非常に優秀な捜査官だ。こんな片田舎の署に来てくれたのが不思議なぐらいだ。だから我々も何かしら結果を残さないとな。かなりのプレッシャーだな。」
島田が言った。
 「プレッシャーをかけてる訳ではないですよ。総監は上原さんの事を一目置いてます。どんな協力も惜しまないという意味ですよ。」
杏奈は笑いながら言った。
 「そこまで期待の星にされるようなもんでもないんですが…」
困惑した表情の若菜。
 「とにかく私は上原さんと同じ職場で働けるのが嬉しいんです。柔道もしたいしプライベートでショッピングもしたいんです。いいですよね?」
 「そ、そんな恐れ多いです…。私こそお願いします。」
仲良くやっていけそうで若菜は安心した。


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