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LADY GUN
【推理 推理小説】

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新パートナー-2

 加藤綾美発見により、もともと昇格が検討されていた若菜は平刑事から警部補へと一気に昇格した。模範的な刑事であることは全国警察官技能検定競技会でも実証されていた事もあり、警部補になれば自分の判断で捜査が出来るようになる為、今一番の解決すべき事件、田口徹捜査において指揮をとるのに最も適役は若菜と判断した警視庁本部が若菜の判断で捜査を進められるよう昇格を決定した。今までは暫定的に警部補が同行していれば独自に判断できる条件つきだった。昇格にあたり若菜の能力についての有無の説明を求められたのが石山だった。石山が強く推薦した事もあり加藤綾美発見の報が入った時点で若菜の警部補昇格が異例のスピードで決まったのであった。
 俊介の復帰が認められた後、すぐさま島田が若菜の就任式を行った。
 「より一層気を引き締めて田口徹逮捕に向け全力を尽くします。偉大な先輩2人に誓って…。」
快諾した若菜は実に凛々しく立派な姿であった。
 そして2人は部署に向かう。廊下で俊介の肩を叩き激励する仲間がたくさんいた。照れくささもあったが、やはり恥ずかしい。困難から逃げていた訳だから。しかしそれは自分への罰だ。いつか堂々と歩いてやるという決意を胸に秘める。
 捜査一課に戻ると真っ先に石山が飛んできた。
 「俊介!よく戻ったな!!」
俊介を強く抱きしめた。
 「ご心配おかけして申し訳ありませんでした。」
 「戻ってきてくれたなら俺はどーでもいいんだよ!ハハハ!」
笑い飛ばした石山。
 「上原も今まではあっちの隅の方の机だったが今日からは上座だからな!何たって警部補だからな、この歳で!すげーな!」
 石山も警部補だ。2人のデスクは並んでいる。
 「石山さんがお墨付きくれたおかげじゃないですか。じゃなきゃ私なんて…。」
 「ハハハ、謙遜が似合わない女だな、お前は!」
 「はっ!?どういう意味ですか〜?」
 「俺はてっきりお墨付きなんてなくても私は警部補になれたんです、ぐらい言うのかと思ったけどな!」
 「え〜?酷くないですか〜?私そんな嫌な女じゃないんですけど。」
 「そうだっけ?クク!!」
若菜は悪魔の笑みを浮かべた。
 「あんまりいじりすぎると秘密バラしますよ?奥様に♪」
石山の顔が焦る。
 「お、お前…、それだけは止めてくれ…!」
石山の焦る姿など初めて見た俊介。
 「何かあったんですか?」
 「いや、何でもない。」
俊介が若菜をチラッと見ると意味ありげに舌を出した。そんな光景に石山と若菜の信頼を感じた。
 (石山さん、静香と俺の代わりに若菜ちゃんをしっかり支えてくれてたんだな…。)
石山を一層尊敬した。自分も必死で頑張り2人の足を引っ張らないようにしなくてはと心に強く思った。
 石山は石山で2人を観察していた。
 (上原、出署が昨日の帰りと同じ服だったし、あの左手の薬指についてる指輪、ありゃ俊介が皆川へ渡すはずだった婚約指輪だろ。へ〜、なるほどね。)
2人が結ばれた事にすぐに気付いたが何も言わなかった。俊介に守るべき人間が現れた事は良い事だからだ。あえて口にしないあたりが大人だった。
 「じゃあ今から捜査の引継をするからな?」
 「はい。宜しくお願いします。」
2人は引継を始めた。若菜は新たな位置に配置された自分の席に座る。警部補となり部署内を見渡して感じた事よりも、左手の薬指に光る指輪を見つめた喜びの方が遥かに大きかった。しかしその表情はすぐに引き締まる。
 (田口徹…、絶対許さない…。)
その表情がどんな物だったか、誰も知らない。


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