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LADY GUN
【推理 推理小説】

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セックス-1

 工事現場から30分ほど歩いた所に俊介の借りているアパートがあった。刑事だった時に住んでいた立派なマンションからは天と地の差があるような決していいアパートとは言えない古びたアパートだ。
 「悪いな。刑事の時より給料安いからこんなとこにしか住めないんだ。」
若菜ほどのいい女が足を踏み入れるには恐れ多く感じた俊介。若菜は一蹴する。
 「別にいいじゃないですか♪私、あんまり綺麗な所苦手なんで。」
 「まぁ、俺は昼間寝る事が多いから防音がしっかりしてるとこを選んだから騒音は気にならないぞ?」
 「え?あ、ああ…そうなんですか…」
ちょっと恥ずかしそうにした若菜を不思議に思ったが、その理由にはすぐ気付いた。
 「あ、いや、そういう意味じゃなくて…」
 「そういう意味ってどういう意味ですか…?」
 「え…!い、いや、何でもないよ。」
気まずい雰囲気になる。妙な空気が流れる中で階段を上がりドアの前に立つ。古臭い鍵をあけると若干軋み音を立てながらドアが開いた。
 「悪いな。マジでいい部屋じゃないんだ。」
 「気にしないで下さい♪」
中へ入り電気がつく。部屋の中を見る若菜。
 「あれ?意外と綺麗にしてるんですね。」
造りは古いが部屋の中はきっちりと整理整頓がなされていた。布団さえも綺麗に畳まれている。
 「そうかな。」
突然の訪問者をすんなり部屋に通すぐらいだ。誰が来ても恥ずかしくはない状態ではあるという事だ。もしかしたら若菜の部屋よりも整理整頓がなされているかも知れない。埃一つ見当たらない。
 「人が来るのを想定してないから座布団もこれしかないけど…。」
いつも自分が使っている座布団を手渡す。
 「お構いなく〜。」
しかしせっかく渡してくれたので使わせてもらう事にした。2人はテーブルを挟んで対面し座る。改めて対面すると何となく気まずい雰囲気になる。若菜はレザーコートを脱ぐ。胸元が強調された白のタンクトップにドキッとした俊介だった。
 2人をつなぎ止めているのはあの事件であり静香であるからだ。どんな話をしても最終的には避けては通れない話だ。若菜は回り道はせずいきなり本題に入る。
 「俊介さん、警察に戻りますよね?」
いきなり突っ込んで来る若菜に苦笑いする。
 「ああ。でも戻りたいからと言って簡単には戻れないたろう?」
 「大丈夫です。俊介さんの退職届は受理されてませんから。未だに署長の机の中にあります。」
 「えっ…?」
驚きを見せる俊介。
 「俊介さんは休職扱いになってるんです。いつか戻ってきてくれるだろうと石山さんがそう進言したんです。だから明日からでも大丈夫です。」
 「石山さんが…」
石山にはいくら感謝しても感謝しきれない恩をたくさん持っている。そこまで自分を気にかけてくれている事が申し訳なく感じる。
 「私は石山さんに指導頂いてなんとかここまで来ました。未だに送り迎えもしてくれてます。」
 「そうか…石山さんが、ね…。」
今すぐにでも会って頭を下げたい気持ちでいっぱいだった。


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