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spring〜出会いと別れ〜
【純愛 恋愛小説】

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spring〜出会いと別れ〜-2

 俺は汗を拭った。
「千佳…はぁ…やっと…やっとわかったよ…」
「え…?」
「千佳は…俺の高校に勤めるから…別れたんだよな…」
「………」
 千佳は否定も肯定もしない。
「いいんだ…はぁ…例えそうじゃなくても…俺は…そう思ってる…」
 俺は一度呼吸を調えた。
「でも、もしそうなら…」
「…そうなら?」
 千佳は少し前に出た。
「あと5年待ってて欲しい。必ず就職して、千佳を幸せにしてやるから」
 俺はポケットから透き通った青色のマガダマをぶら下げたペンダントを出した。
「もし待っててくれるなら、明日、これをつけて来てくれ」
 そのペンダントを千佳にしっかり握らせて、俺は静かに立ち去った。

 翌日。
 千佳はスーツを来ていた。例のペンダントは…ない。
 俺は窓の外をぼんやりと見つめ、悲しみをこらえていた。
「ちょっと暑くなってきたわね」
 千佳は上着を脱ぎ、シャツのボタンを二つ開ける。
「先生〜!それカッコいいね!」
 一人の生徒が言った。
 俺はとっさに千佳の方を見た。
「そぉ?」
 胸元に青いマガダマが見える
「彼氏からのプレゼント〜?」
「こらこら。授業続けるわよ」
「あやし〜!」
「よっしゃー!…」
 急に歓喜を上げた俺を、教室の皆が注目した。
「こら!授業中に大声を出さない」
「すみません」
「気をつけてね」
 千佳は笑っていた。それは俺に春を告げるあたたかさがこもっていた。。。

─完─


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