投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

LOVE AFFAIRの最初へ LOVE AFFAIR 23 LOVE AFFAIR 25 LOVE AFFAIRの最後へ

3.滑落-6

 ――1時間も待っても返信が帰ってこない。
 不安、苛立ち、焦り。悠花は様々な感情がない交ぜになりながら、待っていたが、痺れを切らして携帯を手に取り、

『何なんですか?
 私、明日も仕事なので寝たいんですけど。
 とっとと――』

 ここまで打ったところで、メールが来着した。慌てて作成中のメールを消去し、受信ボックスを開く。

『まず、お金には全く興味がない。

 この写真の価値を、
 悠花ちゃんはいくらくらいに思ってる?

 少なくとも俺にとっては、プライスレス。

 お金で引き換えにはならない。

 最初に言ったように、
 俺は瀬尾悠花ちゃんの大ファンだからね。

 この写真を確実に悠花ちゃんに渡したいのさ』

 やはり。相手から目的を問われた時、金銭の他にもう一つ頭に浮かんだ事がある。あのカラオケボックスでの男の様子を思い出す限り、本来の目的はそちらであると考えるほうが自然だった。
 しかし、そのことを真面目に考える気になんてなれなかったし、それをこちらから言い出すのは更にありえないことだった。
 来着したメールは、まるで最近書き込まれるブログコメントと同じような、持って回った、じれったい、粘着的な書き方だった。やっと今回のメールで「会いたい感」を漂わせてくる。このやり取りをいつまで続ければ、結論が出るのだろう。普通の女性でもイライラする文章だが、帰国子女で英語的な論理の考え方が身にしみている悠花は、なかなか結論を言わない事に我慢できなかった。
(ない。またアイツなんかに会うとか、絶対ない)

『写真を消すところを動画にとって送ってくれますか?
 はっきり言います。
 あなたと直接会うつもりはありません』

 送信ボタンを押してから、かなりキツい書き方になってしまったことが心配された。あの男が、これで逆上してしまったら……。しかし、案外あっさりと返信があった。

『会ってほしい、
 っていう俺の気持ち、
 伝わったんだ?

 嬉しいよ。

 じゃあ、俺もハッキリ書こう。
 写真を手渡す代わりに、
 俺の大好きな瀬尾悠花ちゃんに、
 会いたい。
 
 会いたい。会いたい。

 すごく会いたい。

 どれだけ書けば、
 俺が悠花ちゃんの大大大ファンだって、
 伝わるかな?
 
 もちろん、悠花ちゃんだって、
 薄々わかってるんでしょ?

 ただ「会う」だけじゃない、
 ってことを。

 写真を渡す代わりに、
 俺のお願いを叶えて欲しいんだ』

 ハッキリ書く、としたくせに、最後はボヤかされていた。
 相手の言うとおり、悠花は薄々気づいていた。お金には興味がない。確かに、あの時の男の金払いの良さは異常だった。よほど蓄えがあるのか、どう見ても高収入の仕事をしているように見えなかったが、梨乃がどれだけ値を釣り上げても金に糸目をつけていなかった。
 金銭目的ではなく「会い」、そして「ただ会うだけではない」。
 悠花はそこまで考えて身震いがした。あの時、男と梨乃の行為に感じた、嘔吐を催すほどの嫌悪感。その刃が自分に向けられているという事実を改めて認識すると、ゾッとする、比喩ではない本当に物理的な感触が背中の肌の上を走った。
 どう返そう――、『頭がおかしいんじゃないですか?』、消去。『私は絶対にいやです』、消去。
 要求を完全否定して大丈夫だろうか……。悠花は拒絶の表現について何度も文章を打ち込んでは思い直した。

『うまく伝わるように、きちんと書いておくよ。

 写真を渡すかわりに、
 一度でいい。

 俺が思う存分、満足するまで、
 瀬尾悠花ちゃんの、

 人気モデル瀬尾悠花ちゃんの、

 理想の美貌をした悠花ちゃんの、

 バツグンのスタイルの悠花ちゃんの、

 【その体を、俺の自由にさせてほしい】。

 今すぐ答えをくれなくていい。
 明日、回答をもらうよ』


LOVE AFFAIRの最初へ LOVE AFFAIR 23 LOVE AFFAIR 25 LOVE AFFAIRの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前