投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

LOVE AFFAIRの最初へ LOVE AFFAIR 11 LOVE AFFAIR 13 LOVE AFFAIRの最後へ

2.幸運は勇者以外にも味方する-1

2.幸運は勇者以外にも味方する



 スマホの画面を眺めていた。マンションの部屋を更にベニヤ板で仕切った薄暗い囲いの中、ソファベッドにバスタオルを敷いて腰掛けた足の間では、スリップ姿の風俗嬢が陰嚢を刺激しつつ、男茎を扱き、先端をしゃぶり続けていた。ここは無届の風俗店である代わりに料金がかなり安い。30分単位のサービスだったが、男は既に1回延長していた。しかし風俗嬢と会話をするわけでもなく、部屋に入るなり「とにかくイジってほしい……でも、イキそうになったら言うから、寸止めして、なるべく焦らしてもらえないか」と、それからは交流を断っていた。なので風俗嬢はかれこれ50分ちかく男の股ぐらを弄り続けていた。男は行為が始まってからずっと、スマホの画面を見続けている。
(何なの、この人……)
 とはいえこの仕事をしていれば色々な性癖の男たちが来た。中には身の危険を感じそうなほどの客もいる。それに比べればこの男はずっと扱い易い客だった。時間内にできるだけ何度も射精しようとする客が殆どであるのに、寸止めで弄っているだけ、などと逆の要求してきている。しかも一度延長までして。逃げた男が作った闇金融への借金を抱える風俗嬢にとっては願ったり叶ったりの客だった。是非リピーターになって、この先も自分を指名して欲しいと思った。
「……ねぇ、君」
 不意に風俗嬢の頭上から声がかかった。
「ん……?」
 風俗嬢は男茎から唇を離して見上げたが、スマホが影になって目を合わせることはできなかった。
 強いてこの男に不満があるとすれば、見てくれがあまりタイプではない、ということだ。風俗嬢の好みだけの話ではない。おそらく世間一般的にも、男のルックスは下位に属するレベルだろう。30代後半か40を超えているだろうか。薄い髪の隙間からは脂が滲んで照明に照り、ヌメヌメとしていそう、という表現がピッタリだった。体つきについても、もっと若い頃はそれなりに引き締まっていたのだろうが、今は下腹が弛み、上半身には筋肉がなかった。だらしない男によくある洋梨体型がひどく、デフォルメすると映画やマンガに出てくる宇宙人を思わせる。更に不運なことには、腕から続いてTシャツの袖口へ、そして太ももから股間までを、濃い体毛が覆っていて、余計に異質な肉体に見せるのだ。この体毛の濃さは男にとってコンプレックスなのかもしれない。青ヒゲ顔を隠すように、スマホを顔の前に掲げたまま、顔を見られるのを望んでいないようだった。
「君さ……、せ、瀬尾悠花って知ってる?」
 風俗嬢は男茎を握り、ゆっくりと上下させて、
「知ってるますよぉ。モデルの子ですよね。今は『La Moda』専属の。……私、たまに本屋で立ち読みしますよ。さすがに若い子向けすぎて載ってる服買うのは恥ずかしいけど。あ、それに、この前テレビに出てましたよ。何だったかな、何の番組か忘れましたけど、雑誌で見てるより、ずっと可愛い……、っていうか、キレイな子だったですね」
 21歳と言ってたろうか。風俗嬢から見れば10以上も年下だったが、自分が21歳のときよりもずっと大人っぽく見えた。写真集発売前の宣伝出演らしく、ゆったりとしたチュニックにクロップドパンツ姿だったが、それでも手足の長さが良く分かり、なるほどこれは態々テレビに出て宣伝するだけのことではある、と納得するほど、女の自分が見ても憧れるくらいの完璧なスタイルだった。これまで何人かものモデルが、タレントや女優として知名度を上げていったように、瀬尾悠花も近いうちにブレイクするのだろう。きっと次はCM起用だ。
 この風俗嬢は、店に出ている待ち時間もそうだし、家に帰ってからも特にこれといった娯楽がないせいで、芸能事情にやたら詳しかった。


LOVE AFFAIRの最初へ LOVE AFFAIR 11 LOVE AFFAIR 13 LOVE AFFAIRの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前