ケッチャク-24
「は ぁ」
息を吐いたパルは顔をしかめたまま腰を動かし始めた。
「馬……鹿っ ムリすん な」
パルの表情は快楽というより苦痛の方が大きい。
テオは手を捻ってパルの尻尾を振りほどき、彼女の背中に腕を回してぎゅうっと引き寄せた。
「じっとしてろ……つうかしてて」
濡れてなくともパルの中は充分気持ち良い。
テオはさわさわと腕をパルの頭移動させると、額を合わせた。
「目ぇ開けて」
いつもは偉そうに命令口調なくせに、たまにテオが使うお願い口調。
実はめちゃめちゃツボなのだ。
胸がきゅうんと締め付けられて、トキトキと動悸がする。
逆らえなくて抗えなくて……でも、それが心地よくて不思議な感覚。
パルはそっと目を開けてテオの真紅色の視線を受け止めた。
「やっぱ……綺麗だな……大好きだよ、パル」
真紅の目を細めて囁く声と共に唇を重ねられると、胸の締め付けが強くなって下腹にまで降りて来た。
「ん ぅ ぁ」
締め付けられた下腹がぶるっと震えた瞬間、何かが溶けた感じがしてパルは唇を離す。
目の前のテオは驚いた様にパチパチと瞬きをした後、ぷっと吹き出した。
「濡れた……な」
テオの言葉にパルの顔がボッと赤くなる。
身体の中身や水分さえも殆ど吸われ、カッサカサなくせになけなしの水分をソコに凝縮させてまでテオを欲している身体に、自分で呆れてしまう。
どれだけ正直な身体なんだ……と。
「あ、そっか」
「んあ?」
パルは閃いた、と頭を上げ、テオは怪訝な表情で再び目を瞬く。
「分かった!」
「何が?」
「あのね、アタシね、テオが食べたかったの」
「いつも喰ってたじゃねぇか」
「ううん。そうじゃなくて、肉。この身体丸ごと」
この言葉にはさすがのテオも一瞬顔をひきつらせたが、直ぐに笑って答えた。
「ああ、魔物父さんも言ってたわ……好き過ぎて喰っちまいそう……って……え?」
自分で言った言葉にテオは驚く。
「うん。そういう事だよねっ。テオ、だ〜い好き♪」
パルはすっきりした〜、とテオの首に抱きつく。
すっきりしないのはテオの方だ。
「あ?え?何で?」
嬉しいのと、何でいきなり、というのでごちゃごちゃになったテオはパルの肩を掴んで少し身体を離し真正面から彼女を見つめる。