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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ケッチャク-19


ドドドドドッ

 湿った地面全体が震えて表面に亀裂が入り、内側から乾いた砂が吹き出した。
 亀裂の隙間から見え隠れする茶色い物体……球根に、テオのサバイバルソードがしっかり刺さっている。

「これで!終わりだっ!!」

 ぐいっとサバイバルソードを抜いたと同時に、反対側の手を突っ込んだテオは持っていた瓶を思いっきり握り潰した。

パキ

 妙にハッキリ聞こえた音の後、突っ込んだ手がギュウッと締め付けられる。

「いてててててっ」

 急速に乾燥して縮んでいく球根に巻き込まれたテオは、大慌てで手を引き抜いた。
 バキバキと乾いた音を立てながら崩れ、砂と化していく球根。
 球根本体から伸びていた蔦も根元から枯れていき、カサカサになっていった。

「もおいっちょうっ!!」

 テオは雄叫びを上げると、枯れていく球根から伸びている1番太い蔦を駆け上がっていく。
 その太い蔦……というか、幹には唸り声を上げ続けている男が埋まっていた。
 男の所に辿り着いたテオは、懐から取り出した瓶を握ってその腕を後ろに引いた。

「オレの女と寝た事!後悔しやがれぇっ!!」

ゴシャアッ

 思いっきり反動をつけて顔面に叩きつけられた拳の中で瓶が割れ、男の顔が干からびていく。
 目の前でカサカサに縮んでいく人間の顔は、はっきり言って不気味だった。
 だが……自業自得とはいえ仲間が手にかけてしまった人間の最期を、ちゃんと見届けたかった。

 砂になって崩れた巨大吸血蔦は、不意に吹いた風にさらわれて砂漠の一部となり、エザルを巻き込んでの大騒ぎは夢の様に跡形も無く消えた。

 その後、魔物パルも砂丘の向こうに歩み去り、人間形態に戻って何食わぬ顔で合流。
 ピィが魔獣なのはその場に居た人達だけの秘密、という事になりファイターも常連も揃って口をつぐんだ。

 何が原因だったかは謎のままだが、とにかく危険は去った。
 街も大したダメージは無く、避難も早かったので怪我人程度で済んだ。
 と、いう事でエザルでは祝賀会と言う名のお祭り騒ぎが開催されるのだった。



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