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春、雨。
【制服 官能小説】

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止まない雨-1


新しいクラスへと向かい、席に着いて入学式の準備の為の説明を受ける。

設営の作業は、パイプ椅子を並べるだけという単調な作業で、それを黙々とこなして、今日の出校は呆気なく終わった。

沢山の椅子が並べられた体育館。

つい数日前には、この場所で卒業式が行われて、去り行く人達の涙を見送ったばかりなのに、たった数日でもう新しい人達の時間を迎え入れる場所になってる。


舞台上に綺麗に並べられたピンクと白のさくら草。
入学を祝う為に中央に掲げられた校旗と日章旗。
黙ってそれらを見つめてたら、過ぎ行く時間がなんだか無情に思えて、苛立ちと同時に目頭に熱が込み上げそうになって、慌てて僕は俯いてその場を立ち去った。



一人で歩く帰り道。雨足は強まれど、歩く足は速まらず。

彼女のいない一人きりの傘の中はかなり広い。
改めてそれに気付いて、泣きそうになってる自分に苦笑いした。

卒業式以来、電話もメールもしてない。
千香から届く全てを拒否してる。
セーラー服を脱いでひとつ大人になってしまった、新しい千香なんて、知りたくなかったから。

(どうせ僕は子供だよ…)

一人で勝手に寂しくて。
一人で勝手に不安を募らせて拗ねてるだけ。

そんな事わかってる。

好きだという気持ち、好きな人が望む事に努力も出来ないで、勝手に時間を止めてるのは僕だけ。
千香は、もう新しい時間を受け入れて、きっと笑って頑張ってるんだろうな…。

雨の中、思い出が詰まった公園で足を止めて、辛うじてという程度の日除けの屋根がついたベンチに腰を下ろした。

聞こえるのは雨音だけ。
そんな中で座ってたら、世界中で僕だけが一人ぼっち。そんな気分になって、涙が堪えきれなくなってしまった。

散々無視したのに、こんな時に限って声だけでも聞きたいって気持ちが膨らんで。

来るはずのないメールを心待ちにしている自分が悲しくて情けなくて。

涙で霞がかる視界。探しているのは思い出の中の彼女ではなく、呼吸も温かさもある今の彼女だって、今頃気付いた。

「バカだなぁ…、どうして…」

彼女を遠ざけた自分に呆れて泣き笑いしながら呟いた。







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