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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道2-2

友達……か。


目の前で久留米さんをからかう塁の姿を見ていると、この光景が夢なんじゃないかと思う時がある。


そんな二人の姿を眺めながら、あたしは二人が鉢合わせした時のことをボンヤリ思い出していた。



   ◇   ◇   ◇



塁とはあんな終わり方をしたし、あたしの中ではきっと二度と会わない人になるんだろうと思っていた。


でも、あの塁があたしを失いたくないと食い下がって来たのだ。


仕事終わりを待ち伏せされて、もう一度話をしようと迫る塁の姿が、信じられなかった。


それくらいの熱意、あたしが好きでたまらなかった頃にどうして見せてくれなかったのか、とムカついたけど、あたしを必要としている塁を見てると胸が痛んだっけ。


でももう塁はあたしにとって過去の人だし、何度も“やり直そう”と言われては“無理”の押し問答を繰返していた。


冷たく突き放せなかったのは、ホントに好きだった名残からか。


真剣な顔してあたしを見つめるその姿はやっぱりカッコいいなんて、どこか他人事に感じる自分がいた。


そんなやり取りをしてる時に出くわした久留米さんは、つくづく間の悪い男だった。


たまたま定時であがれた久留米さんは、あたしの腕を掴んで離さない塁を見て眉をしかめる。


一触即発と言った空間にハラハラしながらも、塁に説明するのには今しかないと、久留米さんと付き合ってることを話した。


みるみるうちに、久留米さんに敵意を剥き出しにする塁。


久留米さんもどことなく冷たい視線を塁に向けてるし。


ちょっとした修羅場にビビりまくってたあたしに、久留米さんは“ちょっとコイツと話つけてくるから”なんて言い残し、二人して庁舎の裏へと消えて行った。




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