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オーディン
【ファンタジー その他小説】

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オーディン第二話『コート』-3

「違います」
とりあえず否定して、この列はなんなのか尋ねた。
「アンタ、よそ者だね」
「……」
「ここにはアンタの欲しい物はないよ」
「出ていけ」
皆、質問に答えてくれなかった。ファウストは苦い顔をして、その建物を出ていった。
外の土を踏むと、そこに一人の男が立っていた。ファウストと同じくウエスタン風の格好で、笑っている。そして口を開いた。
「あれは選ばれた者が検査を受ける為にできた列だ」
「…お前もこの仕事を」
「ああ、今日の夜、発電所を襲う…」
「そうか」
そう言うとファウストはスレイプニルを走らせた。

空で月が輝いてる頃、街の中で一つの建物だけが明かりをつけていた。そしてその明かりが消えた。明かりのない清潔な建物の中を、黒いコートを着たファウストが歩いていた。
そして、明かりがついた。ファウストは捕まり、白衣の男たちに連れていかれる。その場所から人影がなくなり、しばらくすると大きな爆発音と共に再び明かりが消えた。
ダダンッダダンッダダンッ
銃声がなり響き、建物の壁が液体で汚れていく。黒いコートを着た人物が、両手に銃を握って立っていた。


白衣を着た男たちはファウストを地下へ連れていった。そこには緑の液体が入った、大きなガラス管がたくさん並んでいた。
「入れ」
ファウストは牢に入れられた。それは天井からつり下げられた牢で、ガラス管に囲まれた所にあった。
座りこんだファウストがガラス管を見た、液体の中には人が入っていた。皆筋肉が発達していて、髪はなく、両腕が異常に大きかった
「X-10342…」
ガラス管の設置された台にそう書かれていた。
「人体兵器か…」
ファウストが呟くと、再び明かりが消えた。ガラス管だけが、不気味に緑の光を放っている。
「さてと、行きますか…」



「ご苦労様です」
背広を着たブロンドの人物が封筒を抱えたまま、ファウストに何かを手渡した。それは腕輪だった。
「……」
ファウストはうかない顔をしている。しばらくして、ブロンドの人物が口を開いた。
「…あの施設はロキが破壊しました、跡形もなく」
「……」
「しかし、残念ながら一匹だけ逃げてしまいました」
「……」
「この犬、引き取ってもらえませんか」
「えっ」
突然、ブロンドの人物の横にアラストールが現れた、その足元には狼がいる。狼にはプレート付きの首輪がついていて、そこには
「X-10399…」
と彫ってあった。


一本の木の下に、狼とその飼い主がいた。ウエスタン風の格好をした飼い主に、狼は答えた。
「覚えてないよ、ファウスト」
狼の首輪にはプレートがついていて、そこには
「フレキ…」
と彫ってあった。


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