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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道1-9

あたしの答えはどうやら外れていたらしく、久留米さんは力が抜けたように右手を下ろした。


「違うって、そんなもん撮ったことねえから安心しろ」


「じゃあ、どんな写真なのよ」


あたしは恥ずかしくも久留米さんをジト目で睨みつけながら、そう問いかけると彼は観念したようにフォトフレームをよこしてきた。


久留米さんの胡座の上に向かい合うように膝をついていたあたしは、ゆっくりそれを手に取った。


「怒るなよ、俺マジでこの写真は一番のお気に入りなんだから」


ニヤニヤしながらも、あたしに見てみろと催促する彼。


あたしは訝しげな顔になりつつも、裏返しになっていたフォトフレームをクルッとひっくり返した。


「こ、これ……」


目が点になる、と言う表現がピッタリのあたしは、フォトフレームを持ったままピシッと固まってしまった。


クククと押し殺すような笑い声が頭上から聞こえてくる。


あたしは次第に、久留米さんの胸の中で身体がプルプル震えていくのを固まった脳内の片隅でうっすら感じていた。




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