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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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無謀1-6

 腕の中で体をぐるりと回されて後ろから抱かれた。首筋に唇が押し当てられるのを感じて悲鳴をあげた。
「そうみたいですね。塩辛い」
 生ぬるいものがうなじを這い回る。
「わたしを痺れさせる味だと言っているでしょう」何度言ったら分かるのですと、しかりつけるようにいう。抵抗するがたちまち両腕を拘束されてしまう。手首をまとめて掴み目の前まで持っていき、口づけをする。
「いつ見ても、本当に綺麗な指」
 何本か指をしゃぶりながら、わき腹から腰へと手のひらが移動する。
「だ、だめッ、あッ」
 スカートの中に手が進入してきた。太ももをとじ合わせるが強引に手を割り込ませてくる。首の後ろにまた生暖かいヌルリとしたものを感じる。
「あ、だめ、シャワーを浴びてないからッ」
「シャワーを浴びたらセックスしてくれますか」
 激しく首を振る。
 ストッキングの上から指でまさぐられた。うなじを舐めながらお尻にまで指先を押し込んでくる。そこを探り当てようとする指先を、両脚をすりあわせて腰を振り必死に防いだ。あきらめた指先が前方に移動して陰毛を撫でる。同時に猛り立つそれを強く押し当ててきた。
「これを静めてくれますか、あなたのここで」
 会話は今も敬語を使う。お互い体は知り尽くしているにも関わらず、肌を合わせるごとに新鮮なのは、大きな負い目のせいかもしれない。少々よそよそしい関係でいる方が、きわめて大胆な性行為を楽しめる。不倫関係を長持ちさせる要素かもしれない。夫婦で今ひとつ濃厚なセックスができなのは、まあそんなところではないでしょうか、と田倉が寝物語でいっていた。こんな状況でそんなことを思い出した。
「今日のあなたのスーツ姿、素敵です。わたしのため、それとも佐伯君のため」
 正面から抱こうとするので、体を揺すって駄々をこねた。そんな仕草に田倉は苦笑いを漏らす。余裕なのが憎らしい。腕は拘束されたまま横から抱かれた。スーツの上からお尻を撫でられる。
「ああ、本当にすごいヒップ」
 興奮したように吐息をはき、「スーツ姿はわたしのため?」と、もう一度聞いた。答えるまで聞き続けるに決まっている。
「そうです」
 あえぐように答えると満足そうに頷き、今度はお尻の方から手を入れてきた。よじり合わせるふとももを腕力で押しのけられる。続いて手首をひねりながら股間をこね回し始めた。つま先立ちになりながら悲鳴をあげた。
「もっと、ごりごりさせましょう」
 今の田倉に何をいっても無駄だ。
 両手の拘束は解かれたが、行為を妨げられないよう、右手首をつかまれたまま抱きしめられた。左手は体の間にはさまれてしまった。身長差があるため、ひざを曲げて長い足で奈津子の体を包み込む。勃起したそれが奈津子の手に当たるよう調整するためだ。太ももの間に差し込まれた手が器用に伸びていき、おなかの肉まで鷲掴みにする。すぐに移動させ、ストッキングの上からそれぞれの部位を確認するように愛撫していく。隅々まで熟知している指先は的確に急所を捕らえる。
「いや、だめ」
 そんな言葉しかでなかった。体にはさまれている手の指は縮めていたが、痛いので開かざるを得なかった。勃起したペニスを手のひらで感じた。田倉の狙いどおりに。
 逞しい分身から発散される熱が伝わってくる。愛撫されている部分からも同じような熱が発散しているのかと思うとますます体が熱くなっていった。息が荒くなるごと恥ずかしさが増す。


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