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疼くの……
【熟女/人妻 官能小説】

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深遠な疼き-2

「こんにちは。水口です」
玄関で顔を見合せた早瀬さんは驚きの表情のまま、しばし身動きもしなかった。

「あなたは……」
「箱根では、失礼しました……」
妙な挨拶だと思ったがほかに言いようがなかった。
「あなたでしたか……しかし、妻と、どうして……」
はっと気づいて、
「こんなところで、どうぞお上がりください」
ちょっと慌てた様子に見えた。


 お茶を出されてテーブルで向き合い、改めて自己紹介を交わしたが、伏せ目がちになったのは致し方のないことだった。この人には秘部を見せ、舐められ、指を入れられたのである。お尻まで愛撫されて、私もペニスを頬張ったのだ。
(その人と再会……)
縁といえば縁だけど、何といっていいかわからない。

 早瀬さんは旅先の一件については何も言わなかった。私に対する気遣いかもしれない。
私は奥さんとの経緯を話した。
「一度だけお邪魔したんです。いろいろお話して楽しかったです」
「そうでしたか。いや、驚きました」
それから奥さんの病状の悪化から亡くなるまでの話を聞いた。

「この写真は妻の還暦の記念旅行で撮ったものです」
六十歳とは思えない若々しい遺影に向い、手を合わせてご冥福を祈った。

「ほんとに還暦の時のお写真ですか?」
「ええ」
女の私から見ても色気を感じるほど熟女の雰囲気がうかがえた。
「そんな風に言っていただいて妻も女冥利に尽きるでしょう。あの頃はまだまだ現役で遊んでいたから……」
笑いながら言うので合わせるように私も笑ったが、ふと意味を解しかねて早瀬さんの顔を見つめた。私の視線を受けて早瀬さんの笑いは弱い笑みに変わり、居間の方へ手を差した。
(還暦の頃に遊んでいた?……)

「煙草を吸ってもいいですか?」
私に断ってから火をつけた。紫煙がひろがって甘い香りが流れてきた。
「妻を非難して言ったんじゃないんですよ」
「はあ……」
「妻は浮気症でしてね。たしかに一種の病気、依存症だったと思います」
言っている意味がわからなかった。
「幸せだったと思いますよ。自由奔放に生きて……」
(自由奔放……)
それは感じた印象である。しかし、浮気症とは……。男性はご主人しか知らないとはっきり言っていた。一抹の後悔まで洩らしていた。

「そんな話をしたんですか」
「はい……女同士、打ち解けてしまって……」
「他にはどんなことを?差し支えなければ」
「ええ……」
露骨な内容なのに、私は奥さんと交わした話をすらすらと披瀝していた。奥さんの幻影が羞恥を消し去ったのか、そして他人行儀に話してはいるけれど、私と早瀬さんは肉体のすべてを見せ合った間柄なのである。
(実感がない……)
けれど、そうなのだ。

 私の話を聞き終わって早瀬さんはまた煙草に火をつけた。そしてゆっくりと語り始めた。
「妻に認知症の兆候が表われ出したのは癌の告知から間もなくのことです」
「認知症?」
「そうは見えなかったでしょう?」
「まったく……」
早瀬さんの話を聞きながらも私はまだ信じられない気持ちだった。

 結婚した時、奥さんはすでに複数の男性経験があったという。
「私は何番目の男だったんでしょうかねえ。付き合っている時にも掛け持ちしていたくらいですから。妻はもてたんですよ。一緒にいると楽しくて、誰にでも好意を持つ稀な女だったですね」
 嫉妬も湧かないほど開けっぴろげだったと早瀬さんは言った。

「嫉妬がなかったと言ったら嘘になりますけどね。でも妻は私を心から愛してくれましたから。それは本当です。だから許せたんですね」
 結婚後も何人と関係をもったのか、定かではない。
「さすがにいちいち詳細には言いませんが、問い詰めると隠さないんです。すぐに謝って、疼いちゃったって言うんですから、怒る気にもなれないですよ。心を奪われる浮気ではなかったんでしょう」
疼いた、と聞いて私は体の中につんと何かが走り抜ける感覚を覚えた。

「手帳のこと、わかりましたよ。あなたの電話番号に妻の名前が書いてあった、あのことです」
「ああ、はい……」
「実は、妻の若い頃とあなたがよく似ているんですよ」
何だか恥ずかしそうに笑って言った。
「それ、伺いました。アルバムも見せていただいて」
「そこまで話しましたか」
「ええ、ホテルでのお話も聞きました」
言ってから顔に熱を感じた。それだけでなく、かすかな疼きも起こった。
「それは、参ったな……」
早瀬さんの顔に心なしか赤みが差して見えた。あの時のことを思い出しているのだろうか。想像したら秘肉の襞が温かな潤いに滲んできた。
 
 ふと、アルバムの笑顔が思い出され、若やいだ声が聞こえた気がした。
「奥さまが引き合わせてくれたんでしょうか」
怪訝な表情で私を見つめる早瀬さん。
「だって、メモに奥さまの名前があったからお電話くださったんでしょう?」
「そうですね。たしかに、番号だけだったら、掛けていないでしょうね」
私の体の内からどろどろと愛欲の粘液が流れ出てくる。
「きっと密かに私たちが会うことを望んでいたんですよ」
「あなたと私が会う。どういう意味があるんでしょう」
「私が若い頃の奥さま。美弥子さん。ご主人ともう一度愛し合いたい……」
そこまで言って私はいったん言葉を切った。
「何か強い想いがあったのではないかと……」
私の下半身は完全に劣情によって感じていた。

「水口さん……」
「美弥子って呼んでください……」
私の顔には体の変調が表われていたことと思う。
「いいんですか?」
「はい……奥さまと思って……」
早瀬さんは目を閉じてから、
「一時間ほど待ってくれますか?」
ピンときた。
「お薬?」
「それもご存じで……しょうがないやつだなあ」
私たちは声を上げて笑った。  




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