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BLACK or WHITE?
【幼馴染 官能小説】

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−2−-3


(キス、って…確か外国では親しい人との間でもフツ−にやるんだっけ?)
彼女にとって、彼は大事な幼馴染であり、唯一無二の男友達であり、そして良きライバルであり……それ以上でもそれ以下でもない。スキンシップの一環なのだろうか。この状況になってもまだそんなのん気な事を考えていたが、道着の上から、ゆっくりと孝太郎の手が胸に触れると、さすがに違和感が大きくなる。奥手の彼女でも、まさか友達同士の間でそんな事はしないという、今の状態の異常さ位はわかる。
緩やかに動く手の感触に、椎奈は今まで味わった事のない感覚が襲う。さっきまでは気持ち悪くて、肌が粟立つような感じがしていた。それが何故か今は胸の奥が熱く、体の芯が燃えていくような……。
まだ、火花が散るような小さな感覚だったそれは、彼に触れられる度にどんどん大きくなっていき、ついに、着火して小さな炎を宿す。
一体、彼は何故こんな事をするのだろう。
夕陽に照らされた、時折見せる切なげな顔は、何だか別の男のように独特な色気を醸し出しており、自分の知っている幼馴染ではないようだ。くらくらと、彼の瞳に引き込まれて、陶酔していく。さっき、耳元で囁かれた声の低さが、まだ耳の奥に残っている。
椎奈はまだ自分が第三者であるかのように、彼の行為に身を委ねていた。何がどうなっているのか、わからない。まだ優しい愛撫を体に受けながらも、常にそんな思いが彼女の内に渦巻いている。


―――その一方、孝太郎は、徐々にその行為に没頭し始めていた。
先程から、椎奈は一切抵抗する様子を見せない。口を半開きにして、ぼんやりと彼の顔を見つめている彼女の表情は、まるで行為を誘っているかのように、今の自分の気持ちを理解した上で、行動を全て許容してくれているように見えた。
当然、それは単なる彼の思い違いで、実際の彼女は、ただ呆然としているだけなのだが。
彼の心臓が、破裂しそうな程鳴り響いている。何年も思い続けた愛しい彼女の唇に、今また自分の唇が触れている。そして、これから、さらに深いところまで……。
胴着の胸元を開いて、下に着ていたTシャツの中に手を差し込み、孝太郎の大きな手が直接胸に触れたその瞬間、先程までのほのかな甘い感覚は消え去って、椎奈の中に突如不安が圧し掛かる。このまま、何をするつもりなのか。
「あのさ……」
彼女は思わず声を掛けるが、彼はそれを黙殺した。
Tシャツを捲り上げると、色気も素っ気もない…彼女らしいといえば彼女らしい綿のスポーツブラがあらわになる。小ぶりな彼女の胸は、この年になってもカップのあるブラジャーをあまり必要としていなかったのと、運動の時に動きやすいので好んで愛用していた。
こういう行為に関しての知識は、義務教育中の性教育程度にしか持ち合わせていない椎奈も、さすがに頭の中で警告音が鳴り響く。
自分は、勝負に負けた。だが、約束とはいえ、このまま、従っていて良いのか。何か、取り返しのつかない事になるのではないか。孝太郎はただの幼馴染、男友達だ。友達と、しかもこんな場所でなんて、絶対におかしい。
「おいっ……!」
何でも従う、その賭けの勝者である彼の出した条件は、“大人しくしている事”。
しかし、もう黙ってはいられなくなった。
「離しっ……!」
そう言おうと開きかけた唇を、また強引に奪われる。
「んっ!」
深く舌が入りこみ、掻き回され、歯茎や歯の裏まで彼の舌が掠めると、椎奈の体が震える。頭を振って、何とかその口付けを逃れるも、両手首はがっちり彼の手に押さえ込まれている。
「この……っ!」
椎奈は全身の力を振り絞って、その手を振り解こうとするが、まるで金属の枷で拘束されているかのようにびくともしない。
ここで初めて違和感以上の恐怖が、彼女の背筋を走る。
これが、今の彼の力なのだ。
圧倒的な力の差。自分がいくら抵抗しようと、敵わない。
先程感じた弱気な思いは、もう既に現実のものとなっていたのだ。
二度と、勝てる事などない。そう実感した瞬間、ずん、と彼女の上に大きな重石がのせられたかのように、体が、心が重くなる。


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